まぬままおま

港を離れる小舟のまぬままおまのレビュー・感想・評価

港を離れる小舟(1895年製作の映画)
5.0
小舟が波打つ海を上手からやってきて奥へと蛇行する動きも素晴らしいのだが、と同時に港に立つ女性たちが同時に存在している構図が素晴らしい。

それは自然のダイナミズムを感じさせる波立つ海と人工で不動な港を対称関係に置き、小舟を漕ぐ男たちと、「衣装合わせ」をしている女たち(≒母娘?)も対称関係に存在させる。互いが互いに無関心な様も並行な運動様態を構成しているし、だからこそ演出意図が読み取れず純粋に感動できる。

しかしながら自然ー人工や男女の二項対立は現在においては批判的に捉えるべきだし、別様の二項対立を構想すべきだ。もちろん友敵の二項対立にする必要もない。そしてそれを行うのはリュミエールではなく、リュミエールをみる現在に生きる私たちだ。

追記
女性たちの様子は、少女に服をあてがったり、頭にリボン(?)を取り付ける様子から「衣装合わせ」と表現したが、本当は何してるのだろう。分かる人教えてください。