Hiroe

あさがくるまえにのHiroeのレビュー・感想・評価

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
3.8
先日久しぶりに自分の自動車免許証を見たら、裏に臓器提供意思表示欄があることに気づきました。自動車事故による脳死はよくある例なのかもしれません。この映画は、若くて健康な男性が、自動車事故により脳死と診断される物語と、一方で彼と同じくらいの年頃の子供のいる初老の女性が、心臓移植しか生きながらえるすべはないと医師から宣告されるいう物語が、巧みに交差するものです。いろいろ付け加えようと思えばもっと複雑になったでしょうけれども、あえて臓器移植に焦点を絞り、その流れが淡々と描かれているのがとても良かったです。特に印象に残っているのが、移植手術登録をするかどうか迫られた女性の「これは寿命」という言葉に対する医者の返し。私もどちらかというと女性の意見に近いですが、医師の言葉は移植手術の考え方として面白いと思いましたし、共感できるものでした。
最初の移植手術のつまづきのためか、日本ではまだまだ進んでいない脳死下による臓器移植ですが、こういう映画でもう少し一般的になると良いかもしれないですね。
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