垂直落下式サミング

ゴーストパイターズの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゴーストパイターズ(2016年製作の映画)
3.7
「ゴォ↑スゥ↓トパイタァァズ♪」

本家の変奏曲みてえな気持ち悪いニアミス音程の主題歌ではじまるお色気パクリ映画。片パイに繋がった光線装置で貞子を吸収する女が登場。幼少期に未発育パイで悪霊を封じた壺を割ってしまったため、まさかの爆乳に!それからというもの、彼女の乳には悪霊を封じる力が宿り、今ではその力を使いゴーストハンター稼業で身をたてるに至ったのだ。
おっぱいに悪霊を吸い込んで封印する女と、アタマのキレる眼帯ちゃんの霊能力ウーマンコンビが、ゴーストハンターとして活躍する。 まあ、前提がバカ映画なので、演技のテンションだとかに、ああだこうだ言っても仕方ない。
最初に口裂け女が襲ってくるところは、けっこうホラーとして怖いんだけど、その後のおばちゃんの演技が一般人すぎてほっこり。男の子とすれ違うまで目線合わさないとか、顔の血を見たあとワンクッションおいてリアクションするところとか、ザ・パンピーな助演女優賞。イチオシの見どころ。
本作で退治する口裂け女は、人から人へ転移するタイプの白石バージョン。ジャパニーズホラー映画ファンへの目配せであるけれど、あんな後味悪い駄作ホラー思い出させないでよね。その他、肝試しスポットロケやら、安い特殊効果やら、手持ちカメラやら、チームのキャラ萌えやら、白石晃士作品へのリスペクトは随所に感じる。
特に、何度か繰り返す「狂女に追いかけられる」恐怖の演出は、『コワすぎ』シリーズによく見られたシチュエーションであり、その雰囲気も意識したのではないかと思われる。
サムくてみてらんないような茶番劇が挟み込まれる低予算ホラーは苦手だけど、途中でパイターズが動画投稿者を目指して企画に挑戦するサイドストーリーは、女子女子した可愛げがあって思いの外楽しめた。
腐れ縁チーム女子な雰囲気がよき。目立ちたがりで元気のいい子の方に振り回されて、あまり乗り気じゃない子のほうは恥ずかしがってやりたがらないのに、相方は無遠慮にカメラを向ける。この関係性にニヤニヤ。
あと、中盤のシーソーのシーンめっちゃいい!シーソーの真ん中のスプリングの部分を中心にして、両端に座る女二人を遠くから定点で撮っていて、時間にして三分間ものワンカット!へらへらと駄弁るしょうもない会話劇で、特に大きな動きもないのに、バッチリ決まったショットのなが回しだから、緊張が持続する。たまにフェチに刺さるから安物お色気映画はやめられない。