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きっと、いい日が待っているのyukacafeのレビュー・感想・評価

4.0
事前情報の全くない状態で鑑賞したこともあって、久しぶりに思い切り頭を殴られたような衝撃を受けた。

幼いエリックとエルマーの兄弟に次々と襲い掛かる苛酷な試練の数々は、思わず観るのを止めてしまいたくなるほどの壮絶さで、アメリカの奴隷制度を描いた"12 Years a Slave"を思い起こさせた。今から50年以上前の話とはいえ、社会保障が充実しているイメージのある北欧デンマークで、反抗する力を持たない子供たちにこんなにも理不尽な仕打ちがなされていたということが信じ難く、ひたすら胸が苦しくなった。

だからこそ、救いようのない展開の中で、兄弟がたくましく生き抜く姿に心を打たれた。絶望としか呼べない状況の中でも、ほんの僅かな希望や空想が未来を切り拓くきっかけになり得るのだ。特に、宇宙が大好きで常に何かを内に秘めたような弟のエルマーが、物語の最後に見せる覚悟を決めた時の表情が強く印象に残った。

非人道的な校長を演じていたラース・ミケルセンは、あのマッツ・ミケルセンの実兄とのこと。007で観たマッツの悪役にはトラウマになりそうな不気味さを感じたが、本作でラースが演じた無慈悲で権力主義、自己肯定感の強いキャラクターも強烈なインパクトを残した。高い演技力の為せる技なのだろうが、とにかく恐ろしい兄弟だ。
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