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シェイプ・オブ・ウォーターのtsuのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

今この映画を鑑賞。
この監督の世界観、人間界に生きる人間が、別の世界へ引き込まれて行く終わり方なのが良い。あと、ヒヤヒヤしていたが、パンズラビリンスよりは最後がなんだか救われた気持ちになった(視聴者として)。パンズラビリンスどんな終わり方やったか、実はあんまり覚えてはいないが、意外とモヤッだ記憶がある。

台詞の端々に色んな意味を持っていそうな詩的な言葉が混じっていて理解が十分に追いついていない部分がある気がするのが悔しいところ。

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この映画は、初めの方の展開が早いし、はしょってる部分も多い気がした。特になぜ主人公のイライザがこんなにもすぐ水中生物とシンパシーを感じられたのかという部分だが、これは単純に、人間世界で言う一目惚れというやつなのかもしれない。
し、イライザが元々水属性だったのかもとか、色々考えられる。

あえてなのかわからないが、映画セットがあからさまな「セット」「映画・舞台美術」感が溢れているのがなんだか個人的に気になる部分でもあった。途中で白黒になって、イライザにスポットライトが当てられるシーンで、舞台を映画として撮ってる感が一層強くなったし。
この時代の飾り気が強いアメリカのファッションやテレビや娯楽、セックスという快楽全般がこれらのセットによって強調させているようにも見えた。家族像とか、ヘアセットとか、みんな「理想を演じている」といった感じに。(その割に人間の裸そのまんま出したり、水中人外生物の作りが精巧なのとか、生っぽさが時々挟まれるのがこの監督の変態なとこ。)

一方、我々がこの時代には早すぎたと嘆くシーンによって、この映画がなぜ昔の時代設定なのか、なぜ恋愛対象に見た目も声もエイリアンに近い人外を選んだのかという部分に、社会的な要因が結構関わってんだなと思った。
声帯が機能しない女性、同性愛者の50代男性、黒人女性、朝鮮人やユダヤ人差別、さまざまな侮辱の上にアメリカが立っていた。
ダークファンタジーという皮を被った2017年に発表された社会批判。
だからといって、人外とのラブロマンスがそれら社会批判的なものである為の引き金やインパクトって訳でなく、マジのマジでこういうラブの形もありやな...って思わせる感じのやつだった。これは確かに上映当時、癖に刺さる人いたのがわかる。
アメリカのTVショーで流れる当時の一般的な恋愛観を、ムーディーな曲やジャジーなもので表現しつつその対象が人外に当てはめられた時に、理想の恋愛像ってなんだろうかと思った。

あと、個人的にちょいワルで結構お転婆な感じのイライザが良いキャラだった。
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