ペジオ

シェイプ・オブ・ウォーターのペジオのレビュー・感想・評価

4.3
シンプルなストーリーとステレオタイプでありながら厚みのあるキャラクターからはクラシック映画の如き風格を感じる
(時代設定やミュージカル演出など製作者も確信犯的だろうが)
この王道な作りは怪物との恋という世間的には異端に映る要素を、「何か問題でも?」とでも言ってのける挑発的な意味合いもあるのか
モンスター愛を公言するギレルモ・デル・トロ監督にしかできない…許されない作風

デル・トロ監督は今まで個人的にはそれほどだったのですが、観ている者を映画世界に引きずり込む世界観(セットデザインやライティング)は今回凄かった

「用を足す前に手を洗う男」ストリックランドは良い悪役ですね~
(「後に洗う」は「自分のモノが汚い」→「謙虚」、「前に洗う」は「周りが汚い」→「自分本位」っていう人間性の違いなのだろうか?)
お伽噺特有の「純粋悪」の立ち位置だが、そこかしこに滲み出る歪な人間臭さがこの作品をジャンル的にもテーマ的にも単なる「異形のラブストーリー」から飛躍させている(それでいて「憎まれ役」という軸からは外れない具合が素晴らしい。)
…映画とは関係無いが
善と悪の単純な二元論では無い世の中にあって悪人は存在せず、悪という視点が存在するだけ
そんな世の中をある視点で切り取るフィクションにおいて「悪役」たる資格とは何だろうかと考えた時、それは「行動力」なのだなと思った
行動力の無い者は「脇役」にも「主人公」にもなれる…だが「悪役」にはなれない
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