mai

シェイプ・オブ・ウォーターのmaiのレビュー・感想・評価

3.9
鑑賞前は、どうしてもあの見た目が受け入れられなくて…手が伸ばせていなかったのですが、Amazonプライムでレンタル100円に乗じて視聴しました。
今まで手を伸ばしてなかった自分を殴りたいくらいに、美しくもダークな世界観で…すごく好きです。

ストーリーとしては「異種族間の愛」という、決して珍しいわけではない(ともすれば、B級?)テーマですが、そこに添えられた世界観があまりにも耽美で美しすぎるんです。
水を描いた作品の中で随一だと思いました。
この映画で、サリー・ホーキンスのことを好きになれた気がします。健気な主人公という姿を演じるにおいて、彼女ほど長けた人はいないのかもしれません。
そして、良き友人として度々お目にかかるオクタヴィアスペンサー。彼女、偶然にも何度も映画で観てるので、とにかく大好きになってしまいました。笑

この2人の友情と、老人との友情、そして半魚人との愛は、とにもかくにも美しかったです。
初めは、テカテカとした醜い容姿の半魚人にギョッとするのですが、イライザが彼と心を通わせるうちに、観客側も自ずと2人に寄り添う感情に傾いていきます。それくらい、種族や見た目なんて関係ない…と惹きつける魅力がありました。そこには「〇〇だから」みたいな根拠も理屈もなくって、愛こそが全て!みたいな世界が続いてます。

そして、レトロでダークなセットや衣装が魅力的です。
暴力シーンや自慰行為などなど、テーマに反してかなり生々しいシーンが多いので、美しい世界ではありつつもかなりダークな一面も備えています。冷戦下のアメリカとロシアの関係性をストーリーにがっつりと使ってるあたりも、なかなかです。
そのファンタジーとダークとを併せ持つのに、B級にさせない実力はさすがとしか言えないです。

あのポスターのシーンの後の2人に想いを馳せてしまいますし、2人が幸せであれば…と願わずにはいられないです。

不思議な魅力に溢れた作品で、こんな作品にはなかなか出会えない気がします。
この作品に対する印象が良かろうと悪かろうと、一度は見てほしい映画です。
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