黒田隆憲

シェイプ・オブ・ウォーターの黒田隆憲のネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

実は1度目は映画館で観たのですが全くハマらず。それでも信頼する周りの映画好きたちに、ことごとく評価の高い作品なので「時間が有り余っている今しかない!」と思って再チャレンジしてみましたがやっぱりダメでした。というか、なぜ、どこがダメなのかが自分の中で明確になった。

あ、最初に言っておくとサリー・ホーキンスは大好きな女優で、劇中の音楽はうっとりするくらい最高でした。

* 以下、ネガティブな感想しかないので気分を害したらごめんなさい。

最も生理的に受け付けないのは、やはりセックスシーンです。異種間の性行為、つまり「獣姦」に必然性を持たせるにはあまりにも説明不足だと私は思いました。「アートは受け手の価値観を揺るがすことに意義がある」と心から思っているので出来れば揺るがして欲しかったのですが、「ファンタジー」というオブラートで包んでいる分、より嫌悪感が増してしまった気がします(ファンタジーじゃなかったらもっとムリか・笑)。

猫を食うシーンもショッキングでした。「犬派」の私ですが、もし自分ちの飼い犬を、隣人が連れてきたワケ分からん生き物に食べられたら生きていけないかもしれない。飼い主のジャイルズが「本能だから仕方ない」と言っているのはまあ確かにその通りではあるのだけど、その描写でより、「この半魚人は異種である」と意識させてのセックスはないだろ……と(他の人たちが、そこまでこの獣姦に違和感を覚えていないことも本当に不思議です)。

こうなってくると、主人公イライザの身勝手な行動も一々引っかかってしまう。仕事も恋愛も今が大事な時期で、何度も「それどころじゃない」と断っているジャイルズに、相手の事情を全く顧みず頼み事をするイライザに「それ、友人にすることかな……」と思ってしまったし、下の階の映画館を水漏れさせながらの「水中セックス」も迷惑!としか思えなかった(笑)。あと、マスターベーションのシーンは必要なんですかね……。

ロシアのスパイが出てくるプロットも話の中であまり効いていると思えなかったし、ハゲを治すどころか死んだ人間すら生き返らせる能力を持つ半魚人が、どうして鱗が削げ落ちるほど衰弱しちゃうんだろう?とか、最後は粗探しになっていました。

「美しい」と言われている映像も、個人的には全くそう思えなかったので、おそらくティム・バートン同様、デルトロとも私は相性が悪いんだろうな、という結論。
黒田隆憲

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