グリーンツー

劇場版 はいからさんが通る 後編 ~花の東京大ロマン~のグリーンツーのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

やっぱり名作。

ラストは関東大震災も絡んで、はっきり言って「ご都合主義」。でも、それも人気があったからこそ。この作品が「生きている」からこそ起きたことだと思う。

ストーリーの流れから考えて「こうあるべき」結末と「ファンが望む」結末が違うものになる。人気がありすぎて連載を長く続けると、こういうことが時々起きる。「ドラゴンボール」ならブルマの結婚相手がそう。最初は多分孫悟空だったけどそれがヤムチャへ、更にベジータへ変わっていった。「いちご100%」も、真中と結ばれる相手が当初の予定とは変わってる。最初は間違いなく東城綾なんだけど、ラストは違うヒロインと結ばれることになる。いずれも作品の人気がありすぎて、原作者の予想以上に連載が続いたからこそ起きたこと。

「はいからさん」の原作者も、ラストは相当悩んだはず。どちらと結ばれることになっても名作で間違いないんだけど、同時にファンからの非難も殺到する。だから「妥協案」というと聞こえは悪いけど、ああするしかなかったのかな…と思う。

勿論、このラストも作品の価値を貶めるものではない。この作品が面白い理由、それは「誰かを愛する」、また「誰かを想う」ことはどういうことなのかをしっかり描いているからだと思う。登場人物の多くが誰かを「愛している」。でもだからと言って「自分のものにしよう」よりもまず「その人の幸せにする」ことを考える。だからこそ、ストーリーが美しい。そういう作品を作るなら、そりゃ現代じゃダメだと思う。やっぱり大正くらいまでさかのぼらないとね。多分原作者は連載当時、また現代のトレンディドラマに警鐘を鳴らしたかったのかなとも思う。今の日本は「はいからさんが通る」とは真逆な路線のラブコメやラブロマンスばっかりだから。だから、「はいからさんが通る」が今でも面白く感じるのはある意味とてもマズいことだとも思う。日本人が本来持っている美徳や恋愛観を無くしているからこそ「面白く」感じるわけだから。