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ブルックリンの片隅でのyksijokiのレビュー・感想・評価

ブルックリンの片隅で(2017年製作の映画)
3.6
■3行サマリ
若干男性が好きである自覚を持ち始めた19歳の主人公が自分を偽って彼女を作ったりドラッグに頼り切りになったり、サイトで男の人と出会ったりしながら心の中を整理しようとしていくお話

■感想
自分という人間を偽りながら生きることの難しさ、辛さを表現していたし性の間で揺れ動く未成熟さを含めた主人公の本能的な行動たちがゆったりとしたタッチの映像の中で表現されていてある種のインディー感も含めての良さがあった。特に主人公のブルーな眼と吸い込まれるような眼差しによる演技がとても良かったと思う。多くを言葉にしすぎない、言葉にできない感情の揺れまとうところを眼と表情で捉えていたと思う。

感情よりも本能的な肉体的欲求に先行するところと行動に一貫性がなく少し共感しにくい点はありつつもそこも含めての若さを表現しようとしているのかなという感じはした。

視点の切り取り方は確かにドランっぽさもあるし、特に手の動きを捉えたカットがとても印象的だった。男性が女性を触る手付き、男性が男性を触る手付き、ある種のリアルな生暖かさや愛情、優しさを感じるカットでうまく表現されていたと思う。

カミングアウトをするかどうか、どう生きるかがテーマになりがちなLGBTQ+を描きすぎずに説明しないことで余白を観ている側に残そうとしている、想像に委ねようとしている部分も嫌いではなかった。

ややストーリー性に欠くし、何も起こらなすぎる上にテンポがあまりよろしくないのと色々と出してきたキーマンやキーアクションっぽいことを割と放ったらかして終わってくるのはいまいちだったりはするけどA24的おしゃれアプローチとハンドメイド感とを備えつつ女性監督ならではの柔らかい目線というのがあった点は良かった。

夜の海辺のシーン、波を捉えたカットがよく出てきてそこの色味の暗さは印象的だった。ちょっとムーンライトっぽい?感じ。BGMを用いないことで日常感を演出しつつカットがすごくゆったりとしていてそのへんもPVっぽくて嫌いではなかった。朝タバコふかすとことかイカしてる。

マティアス&マキシムを見なきゃ。

キャスト☆☆☆☆ 3.6/5.0
ストーリー☆☆☆ 3.0/5.0
演出☆☆☆☆ 3.5/5.0
脚本☆☆☆ 3.0/5.0
バイブス☆☆☆3.2/5.0
音楽☆☆☆ 3.0/5.0
映像☆☆☆☆ 3.8/5.0

全体☆☆☆☆ 3.6/5.0
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