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あゝ、荒野 後篇のdaturaのネタバレレビュー・内容・結末

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

東京、新宿でのメランコリーを抱えた人間達のドラマ。彼らの抱えているメランコリーは無気力で冷笑的なメランコリーでは無く、何かを烈しく求めてしまう、求めざるを得ないが故に生じてしまうメランコリー。何かが欠けた人間達の剥き出しの熱が交錯する。いや、彼らが特別欠けているわけじゃなくて、それら普遍的な欠陥なのかもしれない。
孤独、憎しみ、怒り、全てを丸めて剥き出しになれるようなコミュニケーションで無いと満たされない程に、深く、過剰なバリカン健二は、女性とのセックスを「あなたとは繋がれない」と断る。ラストの試合は単純なセックスよりも一層ヴィヴィッドなセックス。
自分の運命や他者との徹底的な非連続性へと退廃を纏った拳を打つ。何かへ直線的に向かう激的なエネルギーそれ自体の迸り。孤独と怒りと憎しみの究極的なエロティシズム。
俺たちは想いや考えや情を直接やり取りする事が出来ない徹底的な孤独さ故に、他者と繋がりたくても本当の意味で繋がることは出来ない。それでも唯一、他者と直接リアルに触れ合うことを許された身体を最大限に使い、生の繋がりを欲求する熱情の痛々しさ。最高。
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