アニメ版と比べてストーリーもキャラクター像もほぼ変わっていないので、安心して見ることができた。
違うのはとにかく映像関係で、手書きアニメーションにCG技術を加えて作品作りを始めた時代から25年経って、フル3D"超実写版"へと進化を遂げた。
この進化によって大自然の描写がより精緻になり(この点でも超実写だろう)、アクションシーンは大幅に迫力を増した。
ディズニーネイチャーシリーズで自然を研究し続けた苦労もその甲斐があったというものだ。
翻って作品そのものについて話すと、アニメ版を踏襲したオープニングからグッと心を掴まれる。
スカーが悪役として特にいい味を出していて、未熟のシンバを追い立てるシーンは見ごたえがあった。
そのシンバは一時楽天主義に落ち着くのだが、仲間に呼ばれ故郷を統べる王として帰還し、プライドランドを奪還する。
それぞれの立場によって行動するキャラクターが多い中、ここまで心情が大きく変化するのはほぼシンバだけだ。いい主人公ぶりだと言えるだろう。
展開が早く、キャラクター描写より出来事中心で進んでいた印象もあったが、刻々と変化する壮大な風景と豪華なミュージカルシーンがいいテンポが生み出していたと思う。
ティモンとプンバァもいいコメディアンを演じてくれている。作品全体◯とは違うリズム感-が心地いい。
良い部分は残し、伸ばす部分は伸ばす、バッチリなリメイク作品。