カワウソのアイサツ

ボヘミアン・ラプソディのカワウソのアイサツのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
5.0
時系列がおかしいとか、事実と異なる点とか数々あれど、フレディ・マーキュリーがフレディにしか見えない程の再現力。
ある種悪魔的でエキゾチックな顔立ちのフレディと顔立ちや体型は似ていないが、仕草や表情(固く結んで特徴的な口元など)が本当に似ていた。

周知の通り、不世出の天才アーティストであったフレディ・マーキュリーは、1991年11月に病を得てこの世を去るのだが、悲劇の側面を多く持つ結末を、この映画で救われた気がした。
人生の終盤に差し掛かったブライアン・メイとロジャー・テイラーを筆頭に、フレディ・マーキュリーという稀有な人物を後世に遺してあげたいという強い想いが、ずつと消える事無くあったんだろう。

Queenのメンバーは、フレディが芸術を学んだ以外は3人ともが理系の出身で、特にブライアン・メイとジョン・ディーコンの理性がバンドを支えていたんだと再認識した。

ボヘミアン・ラプソディを初めて聴いた当時、オペラパートに驚き、繰り返して聴く度に面倒に思ったものだが、こんなにも長く人々を揺さぶる曲に成長したとは、とても不思議で感慨深い。
家族や世の中で自分の居場所を見つけられなかった彼の葛藤や哀しみや苦悩が理解出来る年齢になって、ようやく1曲を通して聴けるようになった。
最後のフレーズ『Anyway the wind blows』は彼が居なくなった後の世界を語っているようで、やっぱり聴く度に涙が出てしまう。

映画を観ている間は、おかしな時系列や懐かしさやパフォーマンスに圧倒されて涙は思った程出なかったけど、鼻をすする音がそこかしこから聞かれたから、やはり作る意味があった映画だったのだろう。Queenを好きな人はフレディの死をずっと心の傷として持っているから。

映画を観終わって1番思ったこと。
顔立ちや存在感も含め、やっぱり本家は凄かった!

日本を愛し、猫を愛したフレディ・マーキュリーの輝ける栄光の人生に乾杯!!