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ボヘミアン・ラプソディのTenKasSのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
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フレディ・マーキュリーという伝説が、セクシュアリティや生まれ、家庭環境、宗教などといった周囲と自分との違いを感じ取り無意識的に孤独感を強めていく。
そしてその周囲との不和からか、決定的な出来事を経ることなく「疲れた」「成長したい」といった当たり障りのない理由で、自らの母船であるQUEENから分離。薬漬けのパーティで気を紛らわすほどの真の孤独を経験するも、なんとか母船への帰還を果たして迎えるラスト20分、本当に壮観。
この、偉人から感じ取る普遍的な孤独や挫折というのは庶民である我々にとって、ある種の救いである、と個人的には思う。しかし劇中でQUEENがその普遍性を真に強めるのは観客と呼応する時。その掛け声の応酬、ステージとの一体感には、偉人と庶民の垣根はなくすべてが普遍となる。
最後のライブシーンにはその全てが詰まっているといっても過言ではないが、やはり映像的にもう一声、スクリーンとその観客との垣根も取り払うような演出が欲しかったものだなぁとも感じずにはいられなかった。
まぁこれは贅沢だというのは承知ですが…。
別にこれは応援上映なら良かったっていう意味ではないです。明らかにカット割りすぎな所があるだろうっていう話です。願わくば、やり過ぎでも第4の壁を超えてきてくれと思ったという話です。
上演の映画としてイマイチすぎるということです。はい。
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