ばろん

X-MEN:ダーク・フェニックスのばろんのネタバレレビュー・内容・結末

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

いやー、ちょっと期待値上がり過ぎてたかなぁ...

というのが上映終了直後の印象。

「X-MEN最終章」と銘打たれた今作は蓋を開ければ本当にこれで終わりにして良いのかと言うくらい何とも言えない結末だった。

他のヒーロー作品と違って「1ミュータント=1固有能力」なxmenは戦闘シーンがあまり映えない、ポケモンバトルみたいな印象をずっと受けていたのだけど今回のアクションは幾分か見応えのあるものになっていたかな。マグニートとか敢えてフィールドを狭めることで密度を上げた印象。

また特にナイトクローラーは全編通して活躍していた。ラストは「2」のホワイトハウス襲撃を思わせるバトルがあって面白かった。1番動きのバリエーションがあったかな。

ただ、イチオシのクイックシルバーか全く見せ場がなくて、xmen唯一のコメディ担当な彼が音楽に乗せてはちゃめちゃするシーンは入れて欲しかったなぁ...あんな序盤で退場するとは思わなかったよピーター。

個人的に良かったのはこのくらい。
ちょっと残念だなーと思ったことはやっぱりストーリーだ。

ジーンが宇宙で謎の力を吸収しフェニックスへと進化する。てのは良いんだが、そのフェニックスを結局誰も助けられなかったのが悲しかった。

序盤レイヴンがチャールズに言い放った「X-WOMEN」関係の話、すごくトレンドで(あくまで1992年の話だけど)皮肉めいてたけど、確かにミュータントの英雄となったレイヴンやジーンら女性が男性を守ってきたxmenチーム。男が女を守らなくて良いのか、と。私はここで「あー、フェニックスをチャールズら男が救うんだな」と感じた。

しかし実際はどうだったか。フェニックスへと覚醒したジーンがその力を制御できず仲間を傷つけてしまう。手を差し伸べかけたレイヴンが犠牲となり、ハンク、エリックが激昂。特にハンクはいくら最愛のレイヴンを失ったからとはいえ、同じく旧友のジーンを「殺す」それだけの理由で彼女を追いかけ回す始末。「ジーンを助けたい」のではなく「レイヴンの仇を取る」というマイノリティ理解の象徴であるxmenとしては有るまじき行為ではないか。エリックも散々「殺しは辞めた」と言っていたのにハンクの一言で怒りに任せて行動するのは如何なものか。やはりxmenには男を守る女が必要なのだろう。

またフェニックスの力を求めて飛来した宇宙人が結局何者だったのかが分からない。ジーンに焦点を当てた結果蔑ろにされてる感が拭えなかったし、何よりもジーンが身を呈してまで倒した際のカタルシスが皆無だ。

結局①チャールズらがジーンを救えなかった上、②ジーンが捨て身になって倒した敵が何なのかも分からなかった、という二重のモヤモヤが生まれてしまった。

xmenはマイノリティをどう扱うかがキーとなる作品だと私は思っている。意図せずして授かってしまった力をどう使うか、そして彼らを社会はどう見るか。ジーンは覚醒した力を制御することができず、仲間を傷つけてしまう。元々能力者としてチャールズ達と絆を深め、世界を守ってきたはずなのに、仲間を殺されたといえあの心変わりの様子はさすがに行き過ぎではないかと。また最後までチャールズがハンクらにもジーンにも受け入れてもらえず孤立していたのが悲しかった。

そしてエピローグ。ジーンの名前を学園に付けたり、青空に現れる不死鳥の姿など、それまでの感情的に都合の良い感じというか、勝手に美化してる感じに捉えてしまった。

長きに渡るXMENシリーズの集大成だったが、まさかの結末で正直残念でならなかった。「終わった」とも言えない結末。なんだったんだという感情が込み上げてきた。

フェニックスエピソードは前回でもやったはずなのにどうしてこうなったとしか思えない。

やはりウルヴァリンがいないとやっていけなかったのかなXMEN。
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