お転婆さん

坂道のアポロンのお転婆さんのレビュー・感想・評価

坂道のアポロン(2017年製作の映画)
4.0
コミックを途中まで読んだところで、たまたまAmazon primeで見つけ、さてどうしようと一瞬悩んで結果、見てしまった。

漫画の原作モノは基本、見ないようにしているのだけれど、これは実写になってもイメージが崩れないだろうという勘がなんとなく働き、その予想は当たり。

昭和40年代頃の三輪トラック、商店街の手書きの看板、記憶の奥の奥にある懐かしい風景。それが九州の明るい陽射しに照らされて、なんとも言えない白がかった素敵な背景を創りだしている。

男子ふたりと女子ひとり、少しずつずれた想いが編み出すほろ苦い関係。いったんは途切れてしまう関係が、10年後、変わらない陽射しの中で蘇る。これ以上ないハッピーエンド。

とにかく千太郎の存在がこの映画の魅力の9割。戦後混乱期に生を受けた混血の捨て子、そして最後に神へ尽くす道を選ぶという設定が、並みの青春ドラマより遥かにずっしりと重い。こんなキャラを創り出した原作者の才能だけにでも☆5つをつけたいところだけど、残念!エンドロールに流れるテーマソングが大っ嫌いなオダカズマサ…。減点させてもらいました。ジャズだろう!やっぱ。