ちび

検察側の罪人のちびのネタバレレビュー・内容・結末

検察側の罪人(2018年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

あまりの内容にブチギレてyahooのコメントに残したやつ見つけたからここにも載せとくよ...
この映画見たあとミュージカル見に行くんだったんだけど道すがらずっと母親に愚痴ってた記憶あるよ

原作をやっと読み終えたので映画を鑑賞。

一言で言うと『なんじゃこりゃ!?』って感じでした。

原作からは想像できないような改変が繰り返され、タイトルと登場人物の名前以外には同じ部分がないのではないかと思ってしまいました。

ここからネタバレありです。












まず、キャスティングについて。

最上を演じたキムタクはあまりに知性が足りなかったです。原作ではもっともっともっと葛藤していたはずなのに。そこが一番考えさせられる部分だったのに。

沖野を演じた二宮くんは素晴らしかったように思います。特に松倉を追い詰めるシーンは原作を読んでいた時と同じ部屋の空気の重さや怒りが見えてきて興奮しました。少し声が高いのが気になりますが、彼の演技によって最後まで席に座っていられたのかもしれません。

橘を演じた吉高由里子については、彼女が悪いわけではないのかもしれませんが、あまりにも原作からかけ離れてしまっていました。たしかに原作は男ばかりで映像化するには画面に華がないのでしょう。ただあまりに改変されすぎです。彼女がライターとして活躍していたり、悲しい過去があったり、最上のことを嗅ぎまわったりするのはあまりにでしゃばりすぎではと感じてしまいました。

松倉を演じた酒向さん。気持ち悪さは本当に完璧でした!何をされたわけでなくても同じ部屋にいるだけで不快になるという雰囲気がシアター全体に広がっていてなかなか気持ち悪かったです。(褒めています)

今回のお気に入りの諏訪部を演じた松重豊さんは原作よりもかなり派手にはなっていましたが、いい感じのチンピラ具合でなおかつおしゃれで見応えがありました。


次に内容について。

丹野議員の意志
原作では、彼は義父である高島に対し、
彼なりの正義を持って、自分を犠牲にしてまで義父を総理大臣にしたいと考え、自死をもって事件を終わらせたのである。
それに対して最上はそこまでして義父を守る必要があるのかと問いかけます。
そのやり取りの中で読み手は、『人それぞれの正義』というものに思いを馳せることになるのです。
......なのに
反戦って何ですか急に!わけわかんない新しいテーマ入れないでください監督さん!!何だか丹野が無駄死にしたようにしか見えなかった!!悲しいです。


沖野の気持ちの変化の描かれ方。
原作では長期間の取り調べの中で松倉の答えや姿をみて沖野の中の疑問が確信に変わっていく流れが描かれています。
2時間程度の映画に収めなければならないにしてもあまりに雑すぎます。変なダンサー踊らせたり橘の過去に脚色する暇があったらそこをちゃんと描いて欲しかったです。じゃないとスピードがあまりに早すぎてしっくりこない人が大半になってしまいます。

松倉の末路。
松倉に対してはあまりに気持ち悪く描きすぎたのかなというところはあります。あれでは松倉も結局のところ悪人なんじゃないかと思ってしまうことが多すぎる。凶悪犯罪を起こした彼にも彼なりの生活があるという事実が話に深みを増し、沖野の正義への揺らぎにも繋がっていくはずでした。
あの気持ち悪さや根っからの悪人っぽさではたしかに車で轢き殺したくなるのもわかりますが......
おそらく最上が諏訪部を差し向けた結果なのでしょうがあれでは最上はただのチンピラですよ。

そして何よりもしっくりきていないことが、最上が逮捕されなかったことです。最上が逮捕に向けてどんどん追い詰められ、それを感じていても祈るしかない状態になる。その後に逮捕され、刑務所での面会で沖野と再会する。そこで交わされる『正義とはなんたるか』という会話がこの話の最も面白い部分でした。
なのに何ですかあれは。キムタクはただのヤクザになってました。自分の信念と長年の怨みだけが身体を乗っ取り、悲しみや戸惑いは死んでしまっていました。話の良さがなくなってしまったのです。

改変が多かったことに対してがっかりしているのではなく、お話の良い部分を制作サイドの趣味嗜好に食われてしまっていることが悲しかったです。

諏訪部の雰囲気や沖野と最上の対立など映画的に派手になってよかったと思える部分もありましたが、もう少しやりようがあったのではないでしょうかね。
ちび

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