歌代

ミスター・ガラスの歌代のレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
3.6
『ヒーロー映画』ではなく『ヒーロー論映画』だなと思いました。
ラストの展開を見れば何となく伝わると思うのであえて詳細には書かないけど。

「自分をヒーローだと思ってる」多重人格者ケヴィン、ミスターガラス、アンブレイカブル=ダンは現代一堂に会すことになる。しかし、精神病院に幽閉される形で。
医師は3人を「治療」という名目で理屈を持って否定していきます。
これがなかなか哀しくて面白い。あんなあからさまに理屈で自信喪失してくスーパーヒーローとヴィランなんて見たことないから爆笑しちゃった。

しかし、そこからのミスターガラスの覚醒。
内外からの肯定を持ってアイデンティティを取り戻す彼らには正直燃えました。
正義も悪もなく無差別に否定されるのと同じように、正義も悪もなく無差別に肯定されていく。
コミックを教典のように扱って説くミスターガラスがスーパーヒーローとヴィランという偶像を希望のない現代に解き放つ。
面白い!!

ただ、後半のどんでん返し祭りは正直半分シラけてしまったし、『アンブレイカブル』があまりに視覚的に楽しかった分今回は画面が退屈に思えてしまいました。
というかあのザルすぎる精神病院はなんなんだ、とか、後半の白昼の戦いで日の目を見れたみたいな意味を出すにしても前半の暗い戦闘シーンの見づらさはないよなーとか。
言いたいことは色々あったりしました。
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