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ミスター・ガラスの051ujhyvkのレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
4.3
今見ても新鮮さに溢れている上に、その後の社会情勢や、ヒーロー映画が大きな人気を博すようになった現在を暗示していたかのような『アンブレイカブル』

サスペンス映画としての高い完成度を持ちながら、実はヒーロー映画の続編でもあったというラストによって見る人に大きな驚きを与えた『スプリット』

『ミスター・ガラス』はこの3本からなる「イーストレイル177トリロジー」の堂々たる完結編であり、MCUやDCFUと言ったヒーローユニバースが複数存在する現在を踏まえて「ヒーローとは何なのか」ということをシャマラン監督が改めて力強く宣言した作品。

アンブレイカブルからの空白を埋めつつ、キャラクターたちが徐々にクロスオーバーし、物語が展開していくというシェアードユニバース特有のわくわく感がテンポよく味わえる序盤。
デイヴィッド・ダン、ケヴィン、イライジャの3人が、それぞれの能力を封じるための部屋に閉じ込められ、特別な能力自体の存在を否定される中盤。
そして、「ヒーロー(=超越的な存在) など居ないのではないか?」という問いに対して全力の答えを提示するラスト。

この映画を作れるのは、物語そのものが超越的な存在であるというテーマに対してかつて果敢に挑み、そして挫折を経験したシャマラン監督以外にいないでしょう。
この作品が、物語の存在なしでは生きていくことができない私たちの心をぶるぶると震わせる作品であることは間違いがないと思います。

また、 19年の時を経てさらに不敵さが増したサミュエル・L・ジャクソンと、19年の時を経て哀愁を感じられる顔つきになったブルース・ウィリス、ジョセフ少年がそのまままっすぐ成長したようなスペンサー・トリート・クラーク、
スプリットから11増えた20もの人格を見事に演じ分けるジェームズ・マカヴォイ、より神聖な存在感を増したアニャ・テイラー=ジョイら出演者のアンサンブルも見事でした。