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ミスター・ガラスのJIZEのレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
3.5
罪の瞬間が見える不死身の読心術師,自動的に照明が切り替わり24の別人格を所有する者,高度なIQと骨形成不全症を生涯持つ者,それぞれの精神病練で繰り広げられる実験結果の全貌を描いた全三部作"イーストレイル177トリロジー"の完結編‼︎完璧にガチシャマラニスト向けの重た目な信者映画だった。所謂,観る人をだいぶ選ぶ作品だし後半に向かうに連れて本編のテーマ性が拡大し過ぎて散漫化している。中盤の精神病棟内でのパートが冗長で動きが変動しないのもダレすぎ。まず前作『スプリット(2017年)』の異質者が蔓延る陰惨な雰囲気から地続きでほぼ直後が描かれ合わせ技で『アンブレイカブル(2000年)』のデヴィッドが住まう世界観に溶け込む。世界を融合させる手順の的確さは興奮が押し寄せ序盤の積み重ね方はだいぶ正統な描き込みだった。また序盤,スプリットでのケイシーたち同様にチアリーダーのユニフォーム女性数人が廃工場で監禁され未だに絶望の悪夢が続いている感じも初見さん視点で親切構造でもあり"群れ(ケビン)"とデヴィッドが精神病棟に放り込まれる迄はだいぶ異物が日常にたむろする嫌な雰囲気が醸し出されて超自然的な超人の三人が同じ部屋で出逢えばどうなるのか…非常に期待を寄せる怪プロットであった。が,上述したよう病棟内の不気味な騒動がだいぶ冗長で地味。ほぼワンシチュエーションで納まってしまい主要キャラたちの材料が活かしきれてない印象である。彼らに特殊な"超人"という思考を捨てさせる病棟側の人間サイドの思惑も後々考えれば精神科医の主治医や他人間たちがフラッシュを撃退策に設けてるが命を犠牲に病棟へ化け物を隔離する理由付けが平面的で薄く感じた。

→総評(約19年越しに起動させた驚愕の実験映画)。
総じて"シャマラン・ユニバース"の全三部作トリロジー第1章の終幕としては新たな産物の誕生に立ち会えて表現し難い謎の感情に未だ苛まれてます。本質的な回答をだせば内容がガバガバでアクションの工夫が無い直線的な魅せかたや全部ひっくるめて射程圏内に帰結する飛翔しそうでしない感じなど終盤で訪れる作品の方向性そのものにおける最終形態が化けそうで爆ぜない現実路線をひた走る実直な映画だったなという冷静な所感である。同時にシリーズ過去二作を観てなければほぼ開始一秒で置いてかれる内容のため初期装備がなければ即死するハードな作品でもあった。特に前作でほぼ主演を担ったアニャ・テイラー=ジョイ演じるケイシーが本編の重要な主軸に中盤からガンガン食い込んでくるので特に9歳児ヘドヴィグとケイシーの親密な関係性など過去二作が未鑑であれば頭ポカン状態で意味不明な心境になり兼ねない。俺自身も情報量を頭に詰め込んで完璧な状態で鑑賞に挑んだわけではないため過去の伏線とかシーンの意図など観る側の既存ステータス自体では評価が著しく変動する細部のディテールに凝った難しい作品なのかなと感じました。ただやはりラストの大円団で主要キャラがヒーロー映画的に出揃うここぞとばかりの某アメコミ映画顔負けのドヤ感やああいう結末を最強の超人勢が辿る安易さは正直望んでなかったので肩透かしを食らった感覚になりこの評価に至った。あと本作のパンフ販売が見送られたのもディズニー配給ながら異例の事態ではないか。というよう勿論マカヴォイの多重人格芝居やサミュエルの虚ろな真顔で魅せる顔面力など美点が多いのも事実である。またシャマラニスト然りユニバースの信者ほどガン上がりするコア映画だろうしそこそこ程度の観客はとにかく重苦しい雰囲気に呑み込まれ色んな意味で試行錯誤させられ思考が疲労する高級な試作品のような新鋭の映画だった。
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