色やりすぎだけど、綾瀬はるかが出現する前に北村一輝の華やかな衣装にオゲヒンなペンキブチまけで予感させるのはキュート。北村一輝は二枚目ぶった三枚目と見せかけて二枚目っていう反転もかわいいし、ラストに完全なるモブとして画面の端にぼやけて映るのが微笑ましい。
これは忘れられた女優と助監督止まりでしかなかった男ふたりの、まぎれもない周縁のひとびとを正道に据えた物語である。それは、現在の世界において彼らがただの親戚としか認識されていないことが証明している。だからカメラも、待ち焦がれたふたりの触れ合いを、窓の外から引いて、どこにでもあるような小さな一室の物語として見つめる。