おまつ

トランプの国のおまつのネタバレレビュー・内容・結末

トランプの国(2012年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

トリップ映画?ってくらいぶっ飛んでる。
意味わかんない事を楽しめる人でないと早々に脱落してしまいそうな雰囲気だが、こういう雰囲気が大好物なので最後まで楽しめた。
理解するまでに時間がかかったが、色使いも独特で、安っぽい中でもインドの華やかな部分と気だるい部分の両方を映し出した面白い映像のおかげで飽きなかった。
音楽もクセになりそう。

自分なりの解釈(ネタバレ)↓
セピア色の部分が現実の世界で、本当の主人公。彼は鬱屈した社会に飽き飽きしていて人生を見失っている。彼の頭の中で小説「トランプの国」を元にした映画製作を思いつく(=カラーの部分)。映画の主人公である王は、恵まれているが窮屈な生活に飽き新天地を求め、辿り着いたのがトランプの国。
この国では皆が自らをトランプの数である事に誇りを持っており、自分の意志を持ったものを「人間」と呼び蔑んでいる。
王はこの国を根本から変えることを企み、固定概念に縛られたトランプ達に自由の尊さを説き、解放へと導く。
この過程にインドの影の部分であるカースト制度やジェンダー問題に対する皮肉が盛り込まれている。

そして最後に現実とリンクし、現実の主人公は恋した女性と駆け落ちする。


最後にまた感想↓
インドの話とは言え、日本もなんとなく感じた。相互監視で鬱屈とした社会、強い恥の文化、性問題、均一した価値観で固定概念に囚われた人達。
個人的に、女性の自由や権利を訴える時の性描写は非常に大事だと思っていて、つまり女性が自らの意志で男性にまたがり、自らの意志で快楽を得る描写が大事だと思っているのだが、その描写もきちんとあって、おおっ!ってなった。この美しさを知らない事がどれだけ悲しいか。

そして最後の駆け落ちする部分、映画構想を捨てるのも良かった、大切なものが見つかったらそれで良いんだと言わんばかり。

意味わかんない構成と意味わかんない映像かと思いきや、きっちり社会風刺だったのであっぱれ。インドのカオスいい
おまつ

おまつ