あるべき場所に収まるって何だろう。
知的障碍のある弟。
そしてその弟を守りたい兄。
NYの最下層で育ったふたりは、踠いても踠いてもそこから抜け出すことは難しかったんだろう。
安易な金儲けに走り、その結果離れ離れになり、兄は無計画に弟を助け出すため奔走する。
兄の焦りがとめどなく流れる電子音に煽られるようで、段々とその音がノイズとなり頭が痛くなる。
誰かの居場所なんて他人が決めるものではない。
そしてあれがふたりの居場所では決してない。
でもこれ以上どうするべきだったのか。
客観的に観ていたはずの私にも全くわからなかった。
グッドタイムなんてひとときも感じることはなく、心を鑢で削られたようなひりついた痛みが残る。