グッド・タイムの解凍のネタバレレビュー・内容・結末

ラストシーンの特別学級で初めて自分の意思で行動したニックは、兄との時間を懐かしく思い出しながら、少しずつ離れていくだろう。兄コニーは不在の弟ニックを求めることで現実から逃避しようとしていた。障害を持つ弟の受容を妨げて破滅的な方向へ手を取る兄と、弟の周りに最初から居た優しくて常識的な人々。祖母が兄弟の関係を語ろうとするとコニーが必ずテレビを消したのは、自分が決定的に間違っていることに気づいていたから。囚われの弟を取り戻そうとする独善的で無計画な執着が他人の人生を無茶苦茶にしていく。ほぼ狂気だと言っていいし、兄弟で牧場を営むという美しい夢が破れても、(多分暴力を振るっていたであろう)弟を求めてやたけたになって突き進む兄は求道者のようだった。逃避行の末に兄弟が正しい場所に行けたラストは寂しいけどやっぱり救いだったと思う。