生きろ。その小さな体から溢れる想いを命綱に。
ナチスドイツの支配下となったフランスからスイスへ脱出すべく少女ファニーを筆頭にした9人の子供達のナチスからの逃亡劇が始まる。
イスラエルに在住する実在の女性の伝記が元になっているようですが「ジョジョラビット」「さようなら子供達」などナチス支配下を子供の目線で描いた映画はたくさんありましたがナチスから子供達を守るための施設が存在したのを初めて知りました。
日本も戦時中は空襲が激しくなった頃は一家全滅を避ける為に都市部から空襲の標的になりにくい田舎へ避難する疎開という物があったわけですがどちらにせよ幼い子供が親と引き離されて暮らすというのは子供は悲しいしこの子だけでも生き残ってほしいと願いをこめて子供を預ける親も辛い事には変わりがない。自分達の意思とは関係なく愛する人達と暮らせなくなる戦争の悲劇は時代も国も関係なく全て同じなんですね。
この映画に出てくる子供達はそんな逃げ場すら奪われ町を抜け山を超えてスイスの国境を目指すわけですが戦争という状況下におかれたせいで無理くり大人の様な成長を強いられてしまっただけで根っこはみんな子供なんです。行く先々で追ってから隠れて逃げなくては行けない、病気になっても休める所もない、幼い体で戦時下という極限状態から生き残ろうと抗い続けるのが以下に過酷か。子供達の中の対立や終盤で子供の1人から出る台詞にどんな時代でも戦争の犠牲になる子供はいたんだっていう悲しい現実を突きつけられて見ていて本当に悲しかった。最後の結末は直接見て確かめてほしいので省きますがハッキリした残酷シーンはないながらも子供が子供でいれる世界を壊してしまう戦争の罪悪さと生々しさを描いた物語でした。