1943年、ナチスドイツ占領下のフランスでスイス国境を目指すユダヤ人の子供達を描いた実話。
たとえ血が流れるシーンが映らなくても、"収容所"という言葉から私達は嫌でも結末がわかってしまう。
誰も信用できず、誰も頼れず、何気ない言動が命取りになる…
想像以上に死と隣り合わせの生活。
そんな過酷な状況でも決して諦めず、生きるために全力で走って、喧嘩して、泣いて、時には無邪気に一瞬を楽しむ子供達の姿が美しかった。
この作品には自分だけ逃げようとしたり、子供達のことを密告したり、子供達をユダヤ人と知って遠ざける人達も出てくるけど、その誰のことも責められないと思う。
ただ生きることが難しい時代を生きていた人の必死さや悲しみや怒りを、平和に暮らす私達がわかるはずもない。
現世だから、見ている側だから「子供なのに」って言える。
だけどこの時代、彼等のように辛い思いをして、死んでいく子供がどれだけいただろう。
たしかアンネ・フランクだって13とかそのくらいだったはず。
そしてその子供のために死んでいった親や大人がどれだけいたか。
エンドロールは感動と同時にやりきれなさが襲った。