ShinMakita

ローラーボールのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ローラーボール(1975年製作の映画)
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☆俺基準スコア:2.7
☆Filmarks基準スコア:3.8




21世紀、大企業に牛耳られた世界。世間では〈ローラーボール〉というスポーツが大人気である。ローラースケートとバイクでフィールドを疾走し敵ゴールに金属製ボールを投げ込むというルールだが、過激なラフプレーが大きな見どころになっている。ワールドシリーズが開幕し、優勝候補となっている「ヒューストン」は快進撃を続けていた。チームリーダーで特点王のベテラン、ジョナサン・Eの活躍のおかげだ。準決勝の対「東京」戦を控え士気が上がるジョナサンだったが、突然スポンサー企業の社長から引退勧告を渡されてしまう。理由の説明もなく納得のいかないジョナサンは、会社の真意を探ろうとするのだが…


「ローラーボール」


先日亡くなったノーマン・ジュイソン監督のSF作品。誤解されたくないのは、これスポーツ映画では断じて無く、企業というシステムの冷酷さと「暴力」の根源について描いた映画だということ。民衆の求める娯楽としての暴力とスリルに際限はなく、ゲームはどんどん過激になっていきます。ゲームそのものを進化させるためにスターは不用という論理からジョナサンは会社にとって邪魔者となっていくのです。それでも圧力に屈せず試合に出続けるジョナサン、その闘志と、暴力を馬鹿みたいに喜ぶブルジョワたちを見つめるクールな表情、カーン御大熱演でした。冒頭から流れるトッカータとフーガ ニ短調も効果的。ラストの静寂の中のシュートは感動的ですらありました。

消えた妻エラ役はモード・アダムス。日本の「サインくれくれ医師」がバート・クウォークだったことで、007ファンも喜ぶ一本でしたな。
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