くさむすび

ザ・キングのくさむすびのレビュー・感想・評価

ザ・キング(2017年製作の映画)
5.0
『非常宣言』のハン・ジェリム監督作。韓国映画に疎かった当時ディノスシネマズ札幌劇場で見て面白かった記憶があったけど、今見ると社会ドラマと娯楽を上手く融合させてエンターテイメントに昇華させたこんなにも面白い作品だったのかと驚愕してしまった。テーマは検事版『アシュラ』というか、チョン・ウソンが逆の立場の『アシュラ』というか、そんな感じの作品だった。
もう冒頭から素晴らしい。チョ・インソン、ペ・ソンウ、チョン・ウソンの乗車する車が事故に遭い、主人公の「悪人は地獄に堕ちるべきである」的なナレーションによってこの3人の今作での立ち位置がわかる。その後のスタッフクレジットで実際の韓国の歴史をシンメトリーにして見せるが、これも安定した国家を表しているようでその安定した国家の裏には何があるのかを見せていく。自業自得のコネなしクズ検事の転落物語としても見れるけど、それ以上にハン・ガンソク部長が骨の髄まで悪なのでそれすらも霞む。それが検察のヤバさを際立てる。
その歴史を経て結末を観客に委ねるのも、今現在進行形で起こっていて決して他人事ではない韓国の現代社会に生きる貴方たちに向けて描かれていたようだった。蛇足になりかねない後半20分だけど、明確なメッセージがあるので蛇足になってない。
チョン・ウソンは善も悪もどっちも染まれるけど、やっぱり悪役の方が良いな。
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