あくとる

ゴールデン・リバーのあくとるのネタバレレビュー・内容・結末

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ホアキン・フェニックス。
ジョン・C・ライリー。
そして、ジェイク・ギレンホール。
誰もが認める名優たちであり、"曲者"でもあるこの三人を揃えただけで満点のキャスティング。
この渋いメンツによる演技合戦は見応えたっぷりで面白いに決まっています。

不穏な暗闇と躍動感溢れる馬の姿がひたすらに美しい。

基本的には淡々としたドラマなのですが、バイオレンスや緊張感の走るサスペンスシーンではキッチリ締め上げる監督の手腕が冴えています。
その上で、『歯磨き』や兄弟の会話など所々にユーモアがあるのは意外でした。
それがかえって映画全体の何とも言えないアンビバレントなムード、不穏さを醸し出しているのかとも思いました。

兄イーライが大事に肌身離さず持っている『スカーフ』が象徴するように、あらゆる物への『執着』や『呪縛』の物語(大好物)。
家族や主従関係、資本主義、殺し屋稼業…。
人間は一度動かし始めた歯車を止めることはできず、ひたすらに従い続けるを得ないのか?

ラストは凄惨なもの(具体的には『兄が弟を殺して自由を得る』ようなこと)を予想していましたが、まさかあんな爽やかな後味で解放感と共に終わらせるとは!
思わず『お見事!』とスクリーンに向かって言いたくなるようなラスト。
(思い返してみると監督の前作『ディーパンの戦い』も抑制を効かせつつ、劇的なラストが記憶に残る映画でした。)