主人公のカティヤと法廷の外で話をする息子を失った父親との会話、あそこで泣けてしまった。立場は違えど、家族をなくした者の寄り添い方。
そしてカティヤの実の母親による逆撫でするような物言いにより、口論に発展しそうなところを救う、母親の恋人。実の親ではないところが、良い距離感を生み、家族間のいざこざを回避してくれる。欧米の映画ではこういう役回りをよく見るけれど、身近な傍観者は良い。
以下ネタバレ。
カティヤの囚われてしまってどうしようもない人の話なのだと感じた。家族の死によって止まっていた生理が始まる。女性にとって自分の意思とは関係なく身体が未来へ向かってしまうことの怒りや恐怖や遣る瀬無さ。
家族が殺されたとわかった時のカティヤの慟哭もだが、ダイアン・クルーガー の自然かつ濃厚な演技が素晴らしかった。