湯呑

女は二度決断するの湯呑のレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
4.2
「家族」「正義」「海」の三幕で構成される本作は、凶悪なテロ犯罪により家族を失ったダイアン・クルーガーが、魂の救いを求めて彷徨する姿を追う。二幕目の緊迫感あふれる法廷劇や、三幕目のサスペンスフルな展開を見れば、この監督が娯楽映画に精通している事が分かるが、犯罪被害者が抱える苦悩をやはり娯楽映画のフォーマットで描いた『スリー・ビルボード』が、オープンエンドによって回避した結末を、本作ははっきりとした形で描いている。その点については評価の分かれるところだろう。女は、二度決断する。しかし、一度目の決断と二度目の決断には大きな隔りがある。その隔りに贖罪への意志や神への祈りといった敬虔な感情を見出す人もいるだろうし、結局それは自爆テロと同じではないか、と断罪する人もいるだろう。
三幕目はトリュフォー『大人は判ってくれない』やゴダール『軽蔑』へのオマージュに満ち、陽光降り注ぐ海辺の叙景が、私たちが生きる事とどの様に対峙すべきなのかを静かに問い掛ける。
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