ぴな

BPM ビート・パー・ミニットのぴなのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

個人的な視野から見ただけの物語ではなく、ACT UPという実在する団体を通して、HIV陽性者や彼らを取り巻く社会問題、生き方を描いた作品。

これまでもHIV/AIDSを題材にした作品は少なくない中、他の作品とは一線を画した仕上がりになっていると思う。
団体内での意見の相違や衝突、パートナーとの性行為を生々しく映しているし、そのどれもから生への渇望や叫びが感じられるようで、ドキュメンタリーを観ているかのような感覚に。

擬似血液を投げつけたり会社に乗り込んだり、過激な行為は逆効果なのでは、と思う部分もあったけれど、誰も真剣に取り合ってくれず、生きられる時間に限りがある彼らの立場なら止むを得ないのかもしれない。
地道な話し合いを続けているうちに、何人もの感染者が命を落とすだろう。
"同性愛者じゃないから感染しない、私には関係ない"
僅か20年前ですら、こういった間違った考え方や偏見が一般的だったのか、と驚く。
ショーンのパレードでの躍動感が、彼の体調悪化をより際立たせる。

ラストはどうなんだろう。
ナタンが取った行動の全てに賛同はできないけれど、彼なりの現実を受け入れるための勇気だったのかもしれない。
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