みゅうちょび

ビューティフル・デイのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
4.0
「少年は残酷な弓を射る」のリン・ラムジー監督作。ホアキン・フェニックス主演で、カンヌで男優賞と脚本賞を受賞。

めちゃくちゃ好きなタイプの映画!

因みにリン・ラムジー監督の次の作品Polaris(ホラーらしい)もホアキン主演でルーニー・マーラと共演なので楽しみ!来年公開予定?

「ジョーカー」の演技も凄かったけど、この映画のホアキンも負けないくらい強烈なので、是非見て欲し〜い!
私的にはジョーカーよりもこちらのキャラクターの方が好きです。

人身売買などで行方不明になっている少女を捜し出しては連れ戻すことを生業にしている男。悪い奴らを金槌でぶん殴って殺すのが彼流😆
退役軍人であり元FBI捜査官だった彼は、子供の頃の家庭環境によるトラウマやPTSDに苦しんでいて常に自殺の衝動に駆られている。そんな彼が生きる唯一の理由が年老いた母親。
ある日、上院議員の娘を連れ戻す仕事を引き受けるが… という話。

精神ギリギリの状態で生きている主人公。母親の世話をする事、そしてその母との生活を保つための仕事だけが彼を生かしてる。過去のフラッシュバックだけで彼という人間を表していくのが凄い。母親さえいなければいつ死んでいてもおかしくない彼の切迫した孤独感とかが凄く良く表されているんだよね。

セリフも極少なく、淡々と仕事をこなしていく姿とか、不気味でかなり、ハードボイルドな作りだけれど、殺す場面とかはグラフィックに描かれてはいないので、グロは心配なし。でも、凄く緊迫感があって凄惨さは想像できるので凄いものを見てる気がする。

音楽は、大好きなジョニー・グリーンウッド!音楽無くしてこの映画は成り立たない感じ。ジョニー・グリーンウッドが音楽を担当する映画って、PTA監督の映画もそうだけど、音楽をガンガン押し出して体感的な映像世界を作り出してる。たまに邪魔にすら感じることある…😅

そして、挿入される他の曲の使い方もかなりユニーク。
主人公が銃で撃った男が死ぬ間際にラジオから流れるシャーリーンの「愛はかげろうのように」を口ずさみ、主人公の手を握るシーン。主人公も共にこの曲を口ずさむのだけれど、その歌詞の切なさと主人公の絶望的な孤独感と合間ってなんとも言えない雰囲気を醸し出してる。この監督独特の表現だなと思った。

この主人公は、本当は死にたくは無いんだよね。そこがまた哀しいんだよな。彼には自分をこの世に繋ぎ止めておくためのなにかが必要なんだよね。

この作品、そんな主人公が孤独な少女を助けるという内容で、21世紀の「タクシードライバー」とも言われているらしい。

映像にすべてを語らせていく感じが凄く好き。

ラストの音楽の使い方も、この終わり方もいい〜!!

過去鑑賞。
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