ビューティフル・デイの作品情報・感想・評価

ビューティフル・デイ2017年製作の映画)

You Were Never Really Here

上映日:2018年06月01日

製作国:

上映時間:90分

3.8

あらすじ

元軍人の主人公ジョーは、人身売買などの裏社会の闇に堕ちて行方不明になった少女たちの捜索と奪還を請け負うスペシャリスト。年老いた母親と静かな生活を送る一方、長年のトラウマに苛まれる彼の心中にはつねに不安が渦巻いている。そん なジョーのもとに新たに舞い込んできたのは、売春組織に囚われた娘ニーナを連れ戻してほしいという政治家からの依頼。仕事を遂行するためなら血生臭い殺しも辞さないジョーは、組織の娼館か…

元軍人の主人公ジョーは、人身売買などの裏社会の闇に堕ちて行方不明になった少女たちの捜索と奪還を請け負うスペシャリスト。年老いた母親と静かな生活を送る一方、長年のトラウマに苛まれる彼の心中にはつねに不安が渦巻いている。そん なジョーのもとに新たに舞い込んできたのは、売春組織に囚われた娘ニーナを連れ戻してほしいという政治家からの依頼。仕事を遂行するためなら血生臭い殺しも辞さないジョーは、組織の娼館からニーナを救出するが、心ここにあらずといった様子の彼女は人形のように無反応だった。やがて謎の襲撃者にニーナをさらわれてしまい、さらなる非情な事態に陥ったジョーは、自分が恐るべき陰謀に巻き込まれたことを知る。この極限の悪夢の中で生きる理由を見失ったジョーは、はたしていかなる行動に打って出るのか……。

「ビューティフル・デイ」に投稿された感想・評価

やぁー映像の美しさ、画の撮り方、音楽はめっちゃ好きだったけどストーリー…
あらすじを読んでたから着いていけたけど前情報なしじゃ結構キツイのでは?
でも見せたいところがそんなあらすじに載ってるような情報じゃないからなんだろうなきっと

ジョーのあの死にたがりやフラッシュバック
ジョーみたいな環境にいた訳じゃないしあんな自殺まがいの様な事はしないけどそれでもどこか理解できる部分がある
きっとそういう人向けなんだろうな
それでもやっぱマニアック過ぎるかな

ジョーが序盤に家で履いてた部屋着のズボン欲しいかわいい
も

もの感想・評価

3.0
『少年は〜』と同じ監督なんだ、と。
主人公の過去は想像してってとこが行間を読めない私はちょっともやっとしたけど、少女と主人公の言葉にできない悲しみとか背負うものを分かち合う感じは純粋に美しいなと思った。
megさん

megさんの感想・評価

2.6
映画館はいつにない男性客の多さでした。

好きな方は好きなんだろうなという作品。父親からの虐待、父親の母へのDV、軍隊(?)での過酷な経験からトラウマと自殺願望を深く抱える寡黙な男の暴力と再生。不協和音の音楽や街の音はボリュームが大きくて不快。時折とても美しい映像。この監督の特徴なのかな。

でも私は好きじゃなかったなぁ。何を言いたいのか、それを言うのにここまで要る?って感じ。
歯を抜ききるくらいなら自殺できるんじゃない?とか突っ込んでしまった。ニーナは初めて会ったジョーになぜ親近感を持った?とか、結局はロリコン政治家かとか陳腐だし、ちょっとねぇ。

映画館の同じ列に70歳前半くらいのおばさま二人組がいらしたけど、邦題の罪深さでは?
satoshi

satoshiの感想・評価

4.3
 映画館の予告編に惹かれ鑑賞。初のリン・ラムジーです。実際に鑑賞する前は『レオン』のような窮地にいる少女を凄腕の捜索人である男が助け、交流を深めていくというような話だと思っていました。しかし、実際に観てみると、確かにその面はあるものの、全体に異様な雰囲気を纏った映画でした。

 本作のストーリーは、非常に単純で、話の筋としては王道のハードボイルド調なクライム・スリラーです。しかし、それを唯一無二の作品にしているのは、本作が説明的な描写をことごとく廃しためちゃくちゃソリッドな映画だからです。劇中では必要最低限の情報を台詞ではなく、映像と音楽で我々に突き付けてきます。

 例えば、ジョーが持っている自殺願望と幼少期のトラウマ。これは不意に挿入されるフラッシュ映像やジョーの行動から推察できます。また、ジョーが自らの心の拠り所を母親からニーナに切り替えるシーンは、髪の毛の演出もあり鳥肌もの。そしてこの後の館の中にある絵が母性を感じさせるものになっていることがこれを裏付けます。このように、本作は展開と心理のほぼすべてを映像と音楽で語っています。これは、映像の表現である映画でしかできないものです。この点で、本作は非常に映画的だなぁと思います。

 本作が映画的だなと思う点はもう1つあります。それはバイオレンス・シーンの描き方です。予告でも流れていましたが、ジョーの武器はトンカチです。さぞかし痛々しいバイオレンスが起こるのだろうと思っていたのですが、実際にそれは殆ど映されません。それは序盤は鏡越しだったり、監視カメラの映像越しだったりといった「間接的」にしか映りません。終盤ではさらにこれが極まって、いよいよバイオレンス・シーンそのものが描かれず、「事後」のみが映し出されます。こういった映し方をしているのも、映画でしかできないのではないかなぁと思わせられます。

 そしてこれにより、原題である「You Were Never Really Here」が際立ちます。これは訳すと、「あなたはまったくもって存在していなかった」です。劇中では、これを体現するかのように、空ショットが連発されます。そして、ジョーは過去のトラウマから、自殺願望を持っています。まるで、この世から早くいなくなりたがっているように。そんな彼が、ようやくニーナを救い出し、レストランで、自殺するも、他の人間は全く気にかけない。まるで、最初から彼が存在していなかったように。まぁ、これは現実ではないのですが。と思った矢先に訪れるエンディング。彼らが座っていた席には、飲み物以外何もない。ここで、観客は混乱します。「彼らは本当にいたのか?」と。そして、我々が観てきたものは何だったのかと。彼らはこんな苦しみしかないところから旅立ったのかもしれません。ですが、ひょっとしたら、彼らは初めから存在せず、私たちが観ていたのは、幻想だったのかもしれない。観終わってそんなことを考える、白昼夢のような映画でした。
初めからあなたはそこに存在しなかった。

なんか知らんけど凄い映画だった。
難解だったので理解できたような、できなかったような。
なのでレビューを書くのが怖いです。もし、変な箇所があったらやさしく教えてください。逆に共感できたら思いっきり褒めて。笑

予告を観た感じではレオンみたいな映画かと思ったら全然違った。
どちらも天使がでてくるのは同じだけど。

映画のパワーで最後まで連れて行ってくれた。音楽もそうだけど、演出や映像のパワーが凄まじく一気につき進んだ感じ。
監視カメラごしの殺害シーンや、天井のミラーごしの殺害シーン。このあたりは魅せ方が面白かった。
その他にはアマゾンスタジオのロゴを初めて観れて嬉しかったり、エンドロールにサイコのテーマがあって楽しかったり、確かにサイコのテーマだったけど、ああいうのもクレジットしなきゃいけないんだと変わった楽しみ方もできました。

ビニール袋でスーハースーハーしたり死に憑りつかれた男が、少女を救出する話。話自体はシンプルだけど、合間に過去の映像などを断片的に入れてくるので、これは後々意味のあるシーンなんだろうかとか考えちゃうと失敗する。セリフなどもかなり省かれていたり、説明があまりないので脳内補完するしかないため深く考えると分からなくなっていく。男には辛い過去がいくつかあって今が存在する。生きてるようで生きてない存在。
対するニーナ(天使)も心が抜け殻で同様だ。

初めからそこ(現実)に存在しなかった二人が、生まれ変わっていく。

今日は、なんて素晴らしい日なんだろう。
kaorui

kaoruiの感想・評価

4.0
シネマイーラにて、息子とカミさんと鑑賞。
ホアキンで満腹だ。台詞らしい台詞は無いけれど、過剰だ。何が過剰かというと、ホアキンが過剰なのだ。完全に引っ張られている。
だけどもこれが、癖になる。
そしてドン底でのハッピーエンド。多くの人はレオンを連想するかもしれない。
けれどこの出口の無さはアレックス・コックスのシド&ナンシーだ。
観終わって家族で語り合った。音楽の違和感について。この作品そのものが異物感で、すんなり溶け込むことはそもそも目指していないことを得意げに語った。レディオヘッドなんだよ、と。
なんとなくわからんでもないけど、でもやっぱよーわからんと言われた。
観てる内にどんどん感覚が研ぎ澄まされる。

21世紀の『タクシー・ドライバー』というのは言い過ぎだと思うけど、厚みよりもエッジ、先端をもっと鋭く研いだような魅力を持つ作品なのは間違いないと思う。

映像と音楽と、最低限のセリフで、間の説明をすっ飛ばして観る人の感覚に暴力的に何かを打ち込んでくる。
単に痛そうな描写があるとかじゃなくて、諸々の要素が噛み合ったまさに“バイオレンス映画”だと思った。

その肝心な作品としての画がしょぼかったら凄いつまらない映画になるけど、あのフォアキン・フェニックスの役柄として完璧なボディと存在感な何にも勝る説得力を持って映画の“中心”に居座る。
そりゃあ画面から目が離せない。


たまたま同じ日に観た『ウィンド・リバー』が、世の中にカウントすらされない“死”への尊厳の話だとすれば、この作品は世の中にカウントすらされない“死”への愛情を凄く感じた。
思わず落涙しかける場面も何度かあった。


主人公=映画音楽。
主人公と同化したような不安でギラついた音楽、その暴力的な使い方がたまらんものがあった、もはや主人公の分身と言ってもいいでしょ。
ビッグバジェットでは無いこういう作品を作る時は普通なら映像の編集がある程度終わってから残りの予算に合わせたレベルで映画音楽を作ってもらうらしいけど、この作品は音楽制作と映像や編集がそれぞれインスピレーションを受け合いながら“1つの映画”を作るという『君の名は』スタイルで、手間がかかるけどハマれば絶大な効果。

リン・ラムジー監督とジョニー・グリーンウッドの間のインスピレーションのキャッチボールがとても上手くいってるんだと思った。
音楽だけなら同じ組み合わせで前作の『少年は残酷な弓を射る』よりも更に良くなってると思う。
ちなみにジョニーはこの後すぐに『ファントム・スレッド』で打って変わってクラシカルで豊潤な、またもや作品に欠かせないほどの音楽を作り上げるんだから幅の広さにびっくりした。
恭介

恭介の感想・評価

4.3
観たかった作品で、かなり遅れて地元のシネコンにきてくれた。いや、期待通りの
作品で満足。

難解そうだがストーリー的には至ってシンプル。元海兵隊、元FBI潜入捜査官の経歴をもち、今は訳ありの人探しをしている主人公ジョーの元に、売春組織にとらわれている少女を探し出し、救出して欲しいと依頼がくる。いつものように確実に仕事をこなしたジョーだが、そこから話は思わぬ展開に・・・

オープニングから監督のラムジー節が炸裂する本作。すでに唯一無二の独自の視点や映像での語り口を持っていると言っても過言ではない。また、音にかなりの拘りがあり、靴の音や食べ物を噛む音、息遣いなどが強調され、それが映像と相まって画面から感じる緊張感が半端ない。

そしてそこにノイジーでソリッドな、ジョニー・グリーンウッドの音楽がかぶさり、観る者の視覚と聴覚を支配する演出にドップリ浸ってしまう。


ちょっとネタバレあり




主人公ジョーの少年時代、海兵隊時代、FBI時代のトラウマシーンが断片的に、唐突に挿入されるので、多少物語の進行とすれば混乱するかもしれない。しかしその唐突ささえも、今のジョーの心情がそのままダイレクトに表現されているように思え、うまいなぁ〜と思わされる。

結構、バイオレンスなシーンが多めなんだけど、その最中は間接的に見せ、事後をキッチリ見せる演出には逆に恐怖を覚え、
下手なホラー映画より背筋が寒くなる。

また、ブラックジョーク的な笑っていいものかどうかギリギリのラインなシーンも多く、特に死ぬ間際の人間に有名な歌を歌わすシーンなんかはニヤリとさせる。
また、母親とヒッチコックのサイコネタで絡むシーンも一見、ほのぼのとしたシーンに見えるが、後々考えると結構なブラックジョークだ(笑)

ジョーを演じるホアキン・フェニックスの演技は個性派演技俳優の面目躍如といったところ。過去のトラウマに縛られ、もがき苦しみ救いを求めている前半から、同じく尋常ではない仕打ちを受けて、感情を封印してしまっている少女を救うことで、自らの救済になると決めてから行動に移す後半の微妙な変化を、絶妙なさじ加減で演じており一挙一動、目を離すことが出来ない。

原題を訳すと、「あなたは最初からそこに居なかった」この言葉の意味は観る人それぞれで解釈が異なると思う。

自殺願望を抱えたジョーは日頃から、この世から消えてしまいたいという思いを抱いていた。しかし、少女と出会い、今までの自分を拭いされるかもしれないという微かな希望を見出した、と思いたい。

そう考えると、ジョーと少女2人に対して
あなた達は最初から今までの世界には居なかったんだよ。これからがあなた達の世界なんだよ。と誰かが声を掛けているように思う。

そして、ラストに2人の口から発せられるセリフにして邦題である

"It's a beautiful day."

今日はなんて素晴らしい日なんだ

原題の文章からそのまま繋がる言葉に
2人の未来に少し明るい兆しを見た。

この2人がダイナーのテーブルで会話する一連のラストシーンが秀逸過ぎて、本年度の暫定ベストシーン。ちょっとビックリする瞬間もあるが、それはジョーの過去との訣別を意味してるので、あぁラムジー監督、すげぇなぁと改めて思った。

濃密で濃厚な90分。ドップリ浸れました。
つまらなくはなかったのですが、色々曖昧な所が多くて解釈が難しかったです。結局、全部彼の妄想と言うことなのでしょうか?
れい

れいの感想・評価

4.2
余白が多く見終わった後に強く余韻を残す作品は個人的に大好き。
この作品も説明やセリフを極限まで削って映像と音楽で魅せる。
 
フラッシュバックのように挿入される虐待された経験やPTSDの過去シーン、現在のシーンは説明がないから主人公が分かっていることしか分からず同じ体験をしている錯覚をする。
それがより緊迫感が高まり同じ体験をしているよう。
 
寡黙で孤独な主人公を演じるホアキン・フェニックスがただただかっこいい!
 
母を亡くし、すべてを失った彼が死を決意してもなお、生きるという全く正反対の選択をしたのは誰かを助けるため。過去の凄惨な経験を重ね合わせた結果だと思う。
 
原題の「You Were Never Really Here」をビューティフルデイという邦題にしたのは孤独な主人公の再生と救いの物語と重なって、現実と非現実の狭間を生きていた主人公に優しい光を当てているよう。
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