モウドクウサギ

ラブレスのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.0
「離婚するなら、お祝儀返せ!」と、冗談半分で言えない事態に発展する地獄映画。ただ、両親は自業自得で同情の余地はない。大体、親権争いになって「私が子どもを引き取ります」ってのが相場だと思ってたが、今作は真逆。子どもを邪魔者扱いし、押し付けあう言い争いを耳にした12歳の男の子は失踪する。その間も、父母らは子どもの如く醜い言い争いをやめないのだ。
個々の寒々しいシーンを、据え置きカメラで、やや長いスパンで切り取っていく。悲しいかな、普遍的に起こりうるネグレクトの末を描く。監督のインタビューでも「この映画を観るべき人は、あなたの映画を観に行かない」と自虐気味に触れていたが、確かにその通りなのが虚しい限り。信じたくないが、このような類のロクデナシは、我が物顔で現世を跋扈している。