みかん

女王陛下のお気に入りのみかんのネタバレレビュー・内容・結末

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

レイチェル演じるサラとエマ演じるアビゲイルの権力争いが面白すぎる…!これぞ「英国版大奥」と呼ばれる所以有り。オリヴィア、Oscar受賞納得のハマり役だし、侍女役2人の下衆さが良い。

登場人物や権力争いに関して限りなく史実に寄せながらも、"F**k""C**t"といったワードやデニム・レザー生地を多用した衣装から現代にも通ずるものなのではと考えさせられる。
低予算で作られた映画とは思えない…

ストーリー性に関しての意外さは少ないものの、原題・邦題共にセンスに磨きがかかってる。ここ数年稀に見るセンスの良さ。フォントも変に飾らず、ローマ数字と共に劇中セリフを引用するキャッシュトラック的手法(こっちが先)も印象的。

ヘンリ8世やエリザベス1世といった絶対的権威が王族にある時代もあれば、クロムウェルみたいな護国卿が仕切る時代もあった英国だからこそ、終始不安定であってアン女王もその1人だったんだと気づく。
サラとアビゲイル、ハーリーとゴドルフィン。周りの人々に影響されまくって意見をコロコロ変えてしまう女王を見て、改めて自分の意見や芯を持つことの大切さが身に染みた。

レディ・サラの当初の権力は"幼馴染"を利用したある種の洗脳・カルトから繋がるフェイクの友情の先にあると思ったけど、最後女王からの手紙を燃やしたり、親愛の手紙を描いたりしてるパートからも本当に"愛してた"のは事実だったんだなって。
実際彼女が出世と友情どちらを優先させていたかは微妙なラインではあるけど、少なくともフェイクでは無かった所がまた切ない恋物語みたい。

アビゲイルはびっくりするくらい出世しか目にない。とはいえ出世欲丸見えのイタい女ではなくて、上手い具合に二面性を持つタイプ。
泥に塗れて、手に炎症を負わされ、鞭打ちの刑にされて…これらは何れも他者からの一方的な僻みの結果であるし、境遇も相まって同情しちゃうんだよね〜最初は。笑
サラ代理で"ホイット"の相手を任された頃ぐらいから出世欲が丸見え。以降見ててイタい女になるけどこれは共感性羞恥だと思ってる。

みんな言ってるけど今作ラストシーンが天才。
最初え?ってなって理解できなかったけど
「ウサギを踏みつけるアビゲイル=アビゲイルに体重をかける女王の図」が見えた時に
結局侍女も踏みつけられる側の存在でしかないというメッセージに気づいた時の驚きよ。この監督すごいなあ。

純粋にニコラス・ホルトとジョー・アルウィンの美に酔いしれる為に見るのも有り。これはテイラーが惚れる理由もわかる気がする。
みかん

みかん