青山

女王陛下のお気に入りの青山のレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
3.7

18世紀初頭、フランスと戦争中のイングランド。
貴族の身分から転落した女性アビゲイルは、召使としてアン王女の城で雇われる。病弱なアン皇女は幼馴染で世話役のサラにほぼ実権を与えていた。アビゲイルはサラに取り入ることで貴族に返り咲こうとするが......。


ヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン主演による歴史ドラマ。
エマ・ストーン演じるアビゲイル、レイチェル・ワイズ演じるサラ、オリヴィア・コールマン演じるアン女王といった女性たちは歴史上実在の人物らしく、一応史実を基にした作品であるようです。本作から脚本が監督自身によるものではなくなり、そのためか設定自体の不条理さやキャラクターの誰も好きになれなさは鳴りを潜めて分かりやすい人間ドラマに仕上がっています。
そんでもブラックユーモアで人間の嫌な部分を抉り出すような作風は相変わらずで、ポップながら独特の味わいも残した作品です。

ストーリーはとにかく女3人のパワーゲーム。
最初は女王を傀儡のようにして実権を握っているサラのことを性格悪〜と思いながら観てるんだけど、徐々にアビゲイルの野心と強かさに慄き、しかしそこからさらに本当はアン女王が1番怖いんじゃないか......?という気もしてきます。ともあれ三者三様に強めのエゴイストなので、彼女らのやりとりが「うわぁ」と引いちゃいすぎて笑えるコメディになってます。それでいて3人ともどこか嫌いになれない魅力的なキャラクターとして描かれているのが凄くて、やってることは酷いけどみんな必死なので応援したくなってしまいます。
また、そうした三角関係を描きつつ、そこから貴族の暮らしや政治のアホくささを皮肉ったようなところもあるのも良かった。一見華やかで上品そうだけど中身はこんなもんですよって感じで。
そもそもメインキャラ3人とも吐くシーンがあったり、恒例の変なダンスシーンもあったりと、全体におちょくった感じ(だけどちゃんと人間ドラマになってる)なのが好きでした。
青山

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