福福吉吉

女王陛下のお気に入りの福福吉吉のレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
18世紀のイングランド、アン女王の側近であるサラが絶大な権力を持っていた。そこに没落貴族のアビゲイルがサラの縁故を頼って宮廷の女中となる。アビゲイルは次第にアン女王へ近づいていき、寵愛を受けるようになるのだが...。

◆感想◆
18世紀のイングランドでアン女王の寵愛を奪い合う2人の女性の戦いを描いた作品になっていて、アン女王と古くからの信頼関係を築くサラとアン女王の心身の不安定さに乗じてその信頼関係を壊そうとするアビゲイルの心理戦とそれぞれの思惑が映像として描かれていて興味の尽きない作品になっていました。

本作の舞台である18世紀のイングランドではフランスと戦争中であり、アン女王(オリヴィア・コールマン)に戦争の継続か講和を議会で意見の分かれる状態でしたが、サラ(レイチェル・ワイズ)と重臣たちにより戦争継続の方向に進んでいました。アン女王が政治を全てサラに丸投げの状態であり、サラが全てを握っていたと言えます。

そんな中、サラを頼って没落貴族のアビゲイル(エマ・ストーン)が現れ、宮廷の女中となります。サラにとってアビゲイルは取るに足らない存在だったのですが、少しずつアビゲイルがアン女王の寵愛を受けるようになっていき、この展開が本作の見どころとなっていました。最初はアビゲイルにサラにとって代わる意図など無かったのですが、アビゲイルの献身的な動きにアン女王に認められ始めてから、アビゲイルの野心が少しずつ大きくなっていったところにアン女王とサラ、アン女王とアビゲイル、サラとアビゲイルという人間関係のリアルさが満ちていて面白かったです。弱っているアン女王にとってアビゲイルの裏がある優しさが国全体のことを考えるサラの意見より優遇されてしまったことは悲劇的でした。

アン女王、サラ、アビゲイルを演じた俳優陣の演技が素晴らしく、変わっていく人間関係とその心情を演じきっていてとても面白い作品でした。

鑑賞日:2024年10月9日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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