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女王陛下のお気に入りのもりのネタバレレビュー・内容・結末

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

粘度の高い宮廷愛憎劇ってどうも苦手〜って思いながら見に行ったらとんでもない爛熟と狂気の百合だった。この時点ですでに最高³なんだけど、ここに変態的なカメラワーク、構図、色彩の生み出す美しい画面もついてくるとかもう贅沢すぎて訳がわからなくなる。

特にあの魚眼レンズ的ななにかの歪んだ部屋のカット、自分が急に縮んだような妙な圧迫感があってムチャクチャ不安になる。アビゲイルの板挟みの状況が感覚的に伝わるすごい演出…。

あと最大の贅沢ポイントはライティングだった気がする。これでもか!!って程ふんだんに使われる自然光と蝋燭の淡い光が眼福。そのぶんちょっと暗いかな〜って感じもあったけどこのステキな光源の魅力のおかげであんまり気にならなかった。

それと色彩もまた独特の階調。パリスグリーンを思わせる怪しげな緑色が、生命の通った植生とはまた違う視線を投げかけてくるようで強烈な印象だった。

エマストーンのこと完全にララランドの人だと思ってたからとっても気持ちよく期待を裏切られた。確実にこっちの方がハマってると思う。理不尽に虐げられる小娘と最強リベンジモードで2度おいしいとかこの映画カロリー高すぎでは?

あと何よりアビとサラでは違う種類の感情をそれぞれアンに抱いているところ、本当によくできすぎている…。このへんの解釈によっては本編の感想さえ変わってくる恐ろしい映画。濃度の高い百合。ごちそうさまでした。
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