EDDIE

女王陛下のお気に入りのEDDIEのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.5
宮廷で繰り広げられる女の権力争い。主要キャスト3人全員が一癖も二癖もあって、目が離せない!ヨルゴス・ランティモス監督作品にまた一つ傑作が加わりました。

冒頭のカットから惹きつけられ、「あぁこれから2時間こんな素晴らしい映像が観れるのか」とのっけから感動。
オリビア・コールマン演じるアン女王。イングランドは戦火真っ只中にも関わらず、アンは政治には無関心で自分のことばかり。
そのアンを側で支えるのが幼馴染のレディ・サラ。彼女を演じるのがレイチェル・ワイズ。いやぁ凛とした強さが相まってなんとも美しい。
そして、宮殿に突如やってくるのが貴族から没落し再生を図る美女アビゲイル。エマ・ストーンが演じますが、彼女は女王陛下に近づき、貴族へ返り咲くことを常に企んでいました。
3人ともキャラが立っており、全員が全員記憶に焼きつくほどの存在感。
とにかく構ってちゃんのアン女王は、サラと信頼関係で結ばれながらも、サラの気を引くためにアビゲイルとも交流を深め…おっと、この3人の関係性がまたひと言で語るには難しいんですがね、アビゲイルは成り上がりのためにアンに気に入られようとあの手この手を使います。
もうね、エマ・ストーンこれまでかわい子ちゃんのいい子キャラが多かった印象ですが、本作を観て悪女演じるのが一番合ってるよって感じました。それぐらい凄かったし、引き込まれました。

アビゲイルは下の身分からどんどん成り上がっていき、サラは貴族で王女にも遠慮なく物を言える存在からアビゲイルの陰謀によりどんどん落ちぶれていきますが、この対比が見事でしたね。

これまで私は同監督の作品は『ロブスター』と『聖なる鹿殺し』を観ましたが、本作はこの中でも一番観るハードルが低いと感じました。いい意味できっと多くの方に受け入れられるだろうなと感じ、一方でヨルゴスファンからすると彼らしさが少々足りないと感じるのではないかな。
ただ私は本作でも十分ブラックユーモアを感じたし、彼らしい独特の演出と音楽には引き込まれざるを得ませんでした。

とりあえず思いはこれぐらいに留めるとして、とにかく脚本、演出、音楽、映像美、衣装、役者の演技、すべてが素晴らしかったですよ、と。
特に広角レンズと魚眼レンズの使い分けが素晴らしく、IMAXとかでなくとも映像でここまで魅せられるのかと撮影技法のレベルの高さを感じさせてもらいました。
個人的にはランティモス監督の最高傑作にして最高の娯楽作です!
EDDIE

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