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女王陛下のお気に入りのmのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0
愛の上限を試された女
名誉を試された女
そして、賢明な判断が出来なかった女

流石です!
ヨルゴス・ランティモス監督!!
人間の心理を巧みに表現する力がある!
素晴らしい。

そして、オリヴィア・コールマンさんが主演女優賞に選ばれた理由が分かる。
アン女王の幼稚さ、けれどその背景にある悲しい過去。
その自身の悲しみから抜け出すためにいろんなものに依存する。
人物から食べ物まで。
政治はおざなり、ただ満たされたい。
廊下で「ここはどこなの!」と叫ぶ姿に涙が溢れた。

アビゲイルを演じたのは、エマ・ストーンさん。
彼女も体当たりな演技だった。
純粋な人間がじわりじわりと登りつめたいと願い、行動に移す様。
見事な転落っぷりに拍手がやまない。
嘘まみれ「名誉を守るわ」と叫んでいた彼女はどこへ。

そして、サラ、レイチェル・ワイズさん。
このサラは唯一本当に複雑な心理で物語りに存在した。
プライドと愛情、そして憎しみ、自分の立場が無くなる切なさ。
敵への対応、政治的に主導権、そんな複雑に交わるメンタルが滲み出ていた。

絡みに絡まった女たちの愛と憎しみ。
二重にも三重にも重なって存在している彼女らの関係性。

一番の主導者を失った国。
嘘だらけで信用出来ない内輪。
幸せになれない個人。

歴史物ということで、おしゃれな世界観もありつつ、心理面は絶対に外さない監督。
そして、無駄の無い演者たちの演技。
あっぱれです。

女王に幸せが訪れて欲しかった。
これからのあの3人がどう生きていくのか、と考えるのは面白い。

ロブスターを競争、に笑った。

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★★★
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★★
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ★★★☆☆

cc/ごめんあそばせ、宮廷では良心は不用品よ。
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