花俟良王

ザ・スクエア 思いやりの聖域の花俟良王のレビュー・感想・評価

4.0
コメディとして割り切ってみたので面白く観た。移民問題も絡め、都市生活者の欺瞞を炙り出す。

そして少し引いた視点で観ていると、改めてこの監督の美意識に感心する。人の配置は計算され尽くし、何度もリハーサルを重ねたであろう。同傾向の先輩・ハネケが何も起こらないエレベーターのワンシーンに数日費やしたというように、やはり不穏な空気には完全な統制が欠かせない。

街やショッピングモールで一方向に進む人々、大階段の下で話を聞く聴衆、は絵画のようでもある。そんな美しい画面の中で語られるのが、私たちの心にもある不寛容なのだからタチが悪い。

前作に続き、本作も大いに楽しんだのだが、例の緊張感マックスのモンキーマンの下りだけ寓話的な扱いになっていてちょっとだけ違和感を覚えた。
花俟良王

花俟良王