ここのところ、演出のレベルがあがって、リアリティを追求したホラーだったりアメコミだったりが出てきているわけだから、リアリティを追求したコメディと呼ばれるものがあってもいいかもしれない。前作『フレンチアルプスで起きたこと』はぎりぎり、人間のシニカルな部分を描いたヒューマンドラマと言えるけど、今作は完全なるコメディ作品だ。
『アンダー・ザ・シルバーレイク』ばりの悪ふざけなコメディ・シークエンスが立て続けに起こり、それがシニカルでリアルな分、自分の恥部を見せつけられているようなバツの悪さを感じる。しかも、テーマがふわっとしたまま物語が進んでいくため、重要なものと、ただ笑いを取るだけのものの判別がつきにくく、なおさらイラつき度が増す。
とは言っても、演出のオリジナリティは唯一無二で、正直すごい。それに「イラつかせる」ことが監督の目的だとしたら、もう完全に成功としか言えないわけで、もうそれ自体がイラつくわけだ (●'ᴗ'●)✧