カフカさん

ナチュラルウーマンのカフカさんのレビュー・感想・評価

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)
4.1
恋人を失ったトランスジェンダーの女性のお話。周囲の彼女への差別的な言動が印象に残っている。


【あらすじ】
南米チリの首都サンディエゴ。トランスジェンダーのマリーナは歌姫として働いており、父親ほど歳が離れた57歳の恋人のオルランドがいた。
マリーナは自身の誕生日をオルランドに祝ってもらうが、その夜、オルランドが体調不良を訴え、階段から転倒する。彼女はオルランドを病院に連れて行くも、彼は急死してしまう。
医者や警察は、マリーナがオルランドの死に関与しているのではないかと疑う。また、オルランドの家族はマリーナがトランスジェンダーであることを持って、彼女にきつく当たる。また、通夜や葬儀へのマリーナの出席を認めないと伝える。


【感想】
原題は“Una Mujer fantástica”で、「素晴らしい(魅力的な)女性」という意味らしい。
なお、マリーナを演じるダニエラ・ベガさんもトランスジェンダー。

不思議な雰囲気な持つ映画でもあった。明確に描かれていない部分もあり、解釈を委ねているようにも感じた。

差別的な言動が生々しく、直接的に描かれている。警察や恋人のオルランドの遺族らが冷たい目でマリーナを見たり、彼女に侮辱的な言葉を投げかける。特にオルランドの息子の行動や元妻の言葉は目に余る(元妻がオルランドと結婚してる時、オルランドはマリーナと不倫していたのか?離婚した後、関係をもったのか?その辺は不明だったけど、気になった)。
また、オルランドがマリーナを愛していたのに、彼の遺族がそのマリーナを差別するのは変な感じがした。

印象的なシーンは、マリーナを理解していると言っていた女性の刑事が、マリーナの体を見るときの目。マイノリティを理解しているという人たちも、刑事の目のように、マイノリティの人たちを見たりしているのかもしれない、と感じた。

マリーナはとても力強く感じた。それでも前を向いて生きていく勇気。音楽やダニエラ・ベガの歌唱シーンも印象に残っている。
カフカさん

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