ナチュラルウーマンの作品情報・感想・評価

ナチュラルウーマン2017年製作の映画)

Una Mujer Fantástica/A Fantastic Woman

上映日:2018年02月

製作国:

上映時間:104分

あらすじ

チリ、サンティアゴ。トランスジェンダーでナイトクラブのシンガー、マリーナは歳の離れたボーイフレンドのオルランドと暮らしていた。マリーナの誕生日を祝った夜、自宅に戻ると突然オルランドの意識が薄れ亡くなったことで、マリーナは思いもかけないトラブルに巻き込まれていく。それでもマリーナは女性として生きていく権利を胸に、自分らしさを守るための闘いに挑むことを決める。

「ナチュラルウーマン」に投稿された感想・評価

舞台はチリ。主人公はマリーナという女性。
恋人のオルランドから誕生日会を開いてもらった夜、オルランドは突然死んでしまう。

マリーナがトランスジェンダーの女性であったことで、あらぬ疑いをかけられて警察から執拗で残酷な取り調べが行われる。
また、オルランドの元妻と息子からは「通夜も葬儀も来るな」「父の物を盗むなよ」とありえないことを言われる。

哀しいのはマリーナがこういう扱いにちょっと慣れているところ。これだけでも異常なのに、これくらいのことだと怒りを堪えて我慢してしまう。それが悲しかったです。
そんなマリーナに対してさらに調子に乗って周りの人間が色々やって来るから、さすがに爆発するのでそのシーンは痛快!

リーナを演じるのは自身もトランスジェンダーのダニエラ・ヴェガ。
映画の中でも歌手ですが、ご本人も本業は歌手。歌声があまりにきれいなので「口パクか?」と思っていたら地声だったんですねぇ。。
ラストで歌う「オンブラ・マイ・フ」は素晴らしい。日本語の訳詞がこの映画のテーマにもなっていてラストでごっそりとまとめ上げています。

全体的には抑えた演技ですけど、抑えきれない感情が表情に溢れるシーンが素晴らしいし、爆発したときの勢いの良さは個性的です。
今後は普通に007とか出てくれたらどれほど面白いだろうと思っていたら、ダニエラ・ヴェガさんはすでに女性の役で次の映画の撮影も済ませているとのこと。
これほどきれいで存在感あって歌もうまくて演技もできるんだから、映画界をまたさらに豊かにしてくれることでしょう。


***


イラストにも描いた、強い向かい風に吹かれてマイケル・ジャクソンのように45度くらいに前傾になるシーンを始め、印象的で隠喩的なシーンがたくさんあります。
一人の女性の心情を追った映画でもあるし、サスペンスでもスリラーでも社会派でもあって色々な面で感情を揺さぶられます。

四コマ映画「ナチュラルウーマン」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=1925


ベルリン国際映画祭脚本賞受賞。ゴールデングローブ賞外国語映画賞候補。アカデミー外国語映画賞チリ代表。
ナチュラルウーマン
2/24公開ですが 一足早くレビュー。
第67回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作品。

チリ サンディアゴ
ウエイトレスとして働きながらナイトクラブで歌うトランスジェンダーのマリーナ(ダニエラ・ヴェガ)は、年の離れた恋人 オルランド(フランシスコ・レジェス)と共に暮らしていた。
マリーナの誕生日を祝った夜、自宅のベッドで体調不良を訴え意識を失ったオルランドは病院へ運ばれるも動脈瘤によって息を引き取る。
病院へ向かう途中に階段から転げ落ちたオルランドの外傷が原因で、医師・警察・遺族からあらぬ疑いをかけられるマリーナであったが…。
容赦無い差別や偏見に晒されるマリーナの葛藤を通し、誰もが持つ心の弱さを 困難に立ち向かう力強さを描いた作品だ。

ぼくはあらすじにも予告編にも触れることなく今作へ臨んだ
マリーナを演じるダニエラ・ヴェガ自身がトランスジェンダーでもあるのだが、事が起きるまでトランスジェンダー云々の要素にこれっぽっちも気が付かなかった
その容姿も佇まいも心持ちも、マリーナは間違いなく女性
オルランドが亡くなり、疑惑の目を向ける周囲の人物達の反応がおかしいことでようやく今作が描こうとしていることに気が付けた

先人達の努力も相まって、近年LGBTに対する理解が深まっている
否定する方がおかしいのだと、理解できない方がおかしいのだと言える世の中になってきている
が、全ての国が同性同士の結婚を認めているわけでは無いし問題もまだまだ山積みである。

少なからず、あなたにもぼくにも理解しようとする姿勢はあると思う
だけど、直に触れたことの無い人の方が圧倒的に多いはず
TVでタレント活動する愛嬌のある人達や、勇気を振り絞ってその立ち位置を確立させた人達の存在を認知しただけで理解したつもりになっているだけ
こんな書き方をすると語弊があるしリスクが伴うけれど、ビジュアル的に耐え難い人達だってごまんといる
そんな人達を前にした時、本当に情けない話だけど関わり合いになりたくないと思ってしまう自分がいる
理解あるつもりでいても、結局は偽善で本心じゃない
他人事でいられるから平気なだけ

理解しようとする思考よりも先に、劇中のような疑念が生じたのならどうだろう
観客はオルランドが自分で階段から転げ落ちたことを把握しているからマリーナの味方でいられるが、それが無ければ医師・警察・遺族と共に彼女を疑ってしまいかねない
正直なところ、ぼくは自信が無い
きっと彼女を疑うし、彼女の在り方にだって噛み付いてしまう
劇中、暴力を振るっているわけでもないのに物凄く暴力的なシーンがあった
あまりにも恐ろしくてゾッとしたが、ぼくだって彼らと近しい手段でマリーナへ憎悪をブツけると思う
彼女の痛みや理不尽を強く感じると共に、遺族達の歪んだ面にも共感できてしまう自分がいて本当に嫌だった
自分で自分が情けなくなった。

愛は明確なカタチを持っていない
決して目には見えない
当事者同士の間で認識できても、他人にはそれが伝わらない
オルランドの死を悼む時間も与えて貰えず、微かな気配や残り香を感じられる場所や物も奪われ、葬儀に参加することも拒まれるマリーナ

生きていれば他人と分かり合えないことなんて何度もある
むしろ、分かり合えないことの方が圧倒的に多い
それでも、たった一人理解してくれる人がいたのならやっていける
そんな存在があなたにもぼくにもいると思う
いてくれるから今があるのだと思う
その決定的で絶対的な相手を失ってしまうマリーナ
その上、遺族からは憎悪を向けられる
自分の在り方までをも完全否定されてしまう
身体を張ってまで助けてくれる存在は身近におらず、挫けるのも立ち向かうのも己の心次第。

そんな中、マリーナは立ち向かう
向かい風にも理不尽にも真正面からブツかっていく
その姿勢が多くのことを教えてくれる
たとえ何も残らずとも、自分を理解してくれた人がいたという事実や共に過ごした時間は消えたりしない
道を切り拓くのはいつだって自分自身だけど、その自分を支えてくれるのは 後押ししてくれるのは数多の想い
それまでの日々・経験・幸福な時間が踏ん張るための活力を与えてくれる
彼女は一人だけど一人じゃない
それを確信するための険しい困難な道程を描いていた
そして迎えるラストシーンに勇気を貰えた

理解あるつもりでいたが、ぼくはまだまだ偏見にまみれた小さな人間
それでいて、マリーナのような窮地に立たされた時にはおそらく負ける
ぼくがそうであったように、あなたにとっても多くのことを突き付けられる作品になると思います。

ぜひ劇場でご覧ください。

青春★★★
恋 ★★
エロ★★
サスペンス★★★★
ファンタジー★★★
総合評価:A
学校の上映会で。

初めポスターを見た時この女優さんがまさか、元々は男性だったなんて全然気づかなかった。
そのくらいダニエラさん綺麗で、自然だった。

オルランドとマリーナの2人のやりとりがとても美しくて感動的だった。
世間はLGBTなど多様性を認めよう、っていう風潮になってるけど、やっぱりまだ全然偏見とか差別はなくなってなくて、
マリーナがただ元が男性で男性を愛してたってだけで、容疑者扱いされたり、葬式にもくるなと言われたりする、それが現実なんだなあと思った。

私は途中、マリーナが、オルランドの親族から嫌がらせを受けて、なんでしっかり抵抗しないんだろうって思った。通夜に行くのも、アパートに入ってきた時も、もっと徹底的に抵抗すればいいのに、と。
でも、マリーナの心は揺れていて、最後まで抵抗できなかったんじゃないかな、って思った。
そして、マリーナの目的は、親族に仕返しすることでも、パートナーとして認めてもらうことでもなくて、ただ愛する人の温もりを感じて、もう一回会いたかっただけなんだなあ…って気づいて、2人の愛は本当に綺麗だったんだなあと思った。

普段こういう映画は見ないけど、とても素敵な映画だった。
ne22co

ne22coの感想・評価

3.8
2017年観賞 106作品目(試写)

こちらも記載忘れ。
トランスジェンダーの主人公が本当に辛い状況の中でも打たれ強くて、前向き。強いー。

愛の強さって言うよりはこの主人公自身の持って生まれた強さ、強くならざるをえなかった強さ、前向きさ。超前向きに立ち向かってくのが笑えるシーンもあるんだけど、それさえちょっと悲しかった。

ほんの少しの周りの人たちの優しさにほっこりしつつも、全体的には少数派に対する変えたくとも変わらない、理不尽さとか世間の厳しさが前に出てる感じで、終始ヒリヒリしてた印象でした。
ダニエラヴェガ、男優と女優の枠組みを越えた名演技!
なくなった彼との思い出にひたる場面は心がじーんと来る
小夜子

小夜子の感想・評価

4.0
「どんなに向かい風でも、耐えて立ち向かうわ」という気高い瞳がアップで写る。これはステレオタイプのLGBT映画じゃなく、もっとヒロインのパーソナルな視点に迫った秀作だと思う
ヨラ

ヨラの感想・評価

3.9
まず、逆境に立ち向かうヒロインものはめちゃ好物なんです。くわえて演出はいいし、キャストもきまってるし、理不尽さも人生
これは良かった。今のところRotten Tomatoes 100%フレッシュ(14レビュー)。主人公マリアにぴったりのいいタイトル。向かい風のシーンが印象的。
ただ、差別や偏見が罰せられることはなく、それに対して主人公が大きな声をあげたり法的な行動を起こしたりすることもないので、そのあたりで賛否がわかれるかもしれない。

監督のQ&Aも内容盛りだくさんで面白かった。