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ミスター・ロンリーのみのレビュー・感想・評価

ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)
3.8
突き放されたような気持ち。夜更けに見ない方が良かったかも。

マイケル・ジャクソンのマネでしか生きられない男が、マリリン・モンローの彼女に恋をし、真似人だらけの理想郷に足を踏み入れる話。

みんな"自分"を演じ分けて生きている。家族、友達、恋人、学校、職場、電車の中、全ての状況で全く同じようにふるまう人なんていないと思う。関係性や環境によってそれにふさわしい自分を無意識に出している。その振り幅が大きいか小さいかは人によるけど。

そこで演じている"自分"のことを好きになれないから、ほかの誰かに憧れるのはとても自然なことだ。だけどそれは一抹の寂しさも覚える。
 
ラストは否応なしに現実を突きつけられる。
羊のシーンはその暗示だったのか。
マイケルは恋をしてあんなにも強くなった。
"自分"を探しながら生きることはどういうことか、胸が苦しくなるけど彼ならきっと大丈夫。


メッセージ性の強い残酷な映画だけど、自身の理解力が乏しいのもあり、初見ではなかなか入り込むのが難しかった。でも、やっぱり色々考えちゃうので、考察しがいのある映画だとおもう。

そして、レオス・カラックスとドニ・ラヴァンじゃないか。最近『汚れた血』を見たので勝手にタイムリーな気持ち。
『ミスター・ロンリー』のドニ・ラヴァンの役が自分勝手のモラハラ男で気持ち悪かったので『汚れた血』のドニ・ラヴァンが余計かっこよく感じた。
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