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ラッカは静かに虐殺されているのgolgomanのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

天国と呼ばれ、穏やかな人々が暮らしていたシリア北部の街ラッカ。
しかし「イスラム国(IS)」が現れてからその世界は一変。ISらの超過激な思想と武力で街は地獄と化している。
そんな過酷な状況の中立ち上がったのが、匿名の市民によって結成されたジャーナリスト集団「RBSS」(Raqqa is Being Slaughtered Silently=ラッカは静かに虐殺されている)。
次々と仲間が殺され、明日は自分が殺されるかも分からない状況の中、それでも凄惨な現状を世界に発信するため、スマホを武器に街が直面している現実を次々とSNSに投稿。またたく間に世界が騒然となり、そしてRBSSに脅威を感じたISはRBSSメンバーの暗殺計画に乗り出す。
監督は「カルテル・ランド」のマシュー・ハイネマン。


ISの脅威に苦しむ人々の悲鳴を映像化した内容。
凄まじかった。本当に凄まじかった。想像を遥かに超えてた。
そもそも平和ボケした日本の一国民が、その平和ボケした頭で想像する事自体無意味だと感じる程に。
自分の友達や親が処刑され、それがネットにアップされるという恐ろしい現実。
目の前で殺されていても、抗えない。助けられない。
こんな残酷な状況が、いま世界の同じ時間の中で行われてるという事実。
そんな状況下でRBSSのメンバーは、文字通り命を賭けて戦ってるわけだ。


まず根本的に思った事。
先に言っとくけど、今から言うのは否定じゃないし、ほんと個人の自由だとは思う。
だから個人の自由として言わせてもらうけど、やっぱり宗教って怖い。
分かる。みんながみんなISみたいなヤツらじゃないなんて事は言われんでも分かる。
どんなもんでも、それを取り扱う側に問題があるなんて事もよーーーーく分かってる。
でも悲しいかな、いつの時代も争いの火種になっちゃってるのよね。それが引き継がれちゃってる。
集団は集団を取り込もうとするのが世の常で、そしたら必然的に争いは生まれる。
そんでやっかいなのがどっちの主張も間違ってないんだろうなって事。
正解が無いからこれが正解なんだと、力の強い方がゴリ押しする。弱い方は潰される。
つまり勝ったほうが正解になっちゃうんだよね。もはや正解の定義ってなんなのかってレベル。
何にでも言えちゃう事なんだけどさ。
※言うまでもないと思うけどISのやり方は、間違いとか正しいとかそういう次元を超えてるって事は大前提ね。
まぁとどのつまり、人間て怖いなーってね。

あともう一つ、このラッカで起きてる事態の、その原因はなんなのかというとこ。
簡単に言うとシーア派とスンニ派の派閥争いてのは分かる。(だよね?)
じゃそれが起きた原因は?って掘り下げて考えなきゃいかんよこれは。
元はといえば湾岸戦争とか、イランイラク戦争まで遡らないといかんのでしょ?
詳しくはわからんけど、色々調べると悪はISただ一つってわけじゃなさそうだ。
いやいやいや、ISを擁護するとかって意味じゃないよ!?。
ただ、事はもっと複雑だって事。


この映画で一番恐怖を感じたのは、
銃弾が飛び交うシーンでもなく、首の無い死体が横たわるシーンでもない。
授賞式のシーンでRBSSのメンバーが、カメラマンから

「表情が硬いので笑って」みたいな事を言われるシーン。ここが一番怖いよ。
世界と彼らの温度差を思い切り感じた。

笑えるわけねーだろ。。。


そんで、さらにこの映画を観てもまだどこかで対岸の火事感を持ってる自分も大概だなと。

これ、日本でも報道すべきじゃないのかなー。規制はかけずにそのままさ。
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