kapp

テリー・ギリアムのドン・キホーテのkappのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

テリーギリアムのカフカ的不条理とアダムドライバーの共演。
他の作品に比べてファンタジックな要素は弱いが、その分現実と非現実、正常と狂気が意識的に描かれているのを感じる。
ドン・キホーテを通してその間に翻弄され、旅を共にすることにより最終的に狂気の側に落ちてしまうが、そもそもその狂気を作ったのはトビー本人であるという皮肉。自分の作った狂気に翻弄されその狂気に飲み込まれてしまう。
劇中の「こんな脚本誰が書いたんだ?!」的な台詞や、ドン・キホーテが自分で自分を戒めて血だらけになっているシーン等…「ドン・キホーテ」という物語を通して演じることの狂気を俯瞰し、主人公はドン・キホーテではなく脚本家(監督)というメタ的な構造に仕上がっている。
はじめはドン・キホーテの狂気とそれを罵るトビーを笑って観てたのに、アンジェリカが出てきたあたりから笑えなくなってくる。
8 1/2を彷彿とさせるところもあり、アダムドライバーが好きなこともあり個人的にテリーギリアムの中でも好きな作品のひとつになった。
kapp

kapp