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テリー・ギリアムのドン・キホーテのtuttleのレビュー・感想・評価

5.0
監督自身が言うように、映画が死ぬよりギリアムが死ぬのが先かもと思いながらひたすら待って、ようやく日本公開が2日前に迫ったときにテリー・ジョーンズの訃報。
そっちかよ。
今回は夢に魅せられ10年もの間夢の中で生き続ける老人を周囲があざ笑う描写が続く。
今までのギリアム作品は、夢の中に閉じこもる経緯を描いたものや、夢を見ることを肯定するような描写が多く、今作みたいに夢の中で生き続ける人に対して第三者が良し悪しを判断する(観客に判断を投げかける)ような描写ってあんまりなかったように思う。
その冷ややかな視線に、ギリアムが一貫して描いてきた「ファンタジーは現実を凌駕し勝利する」が崩れかけ、敗北を予感させられる。
でもこの映画自体、ギリアム自身が夢を見続けて資金破綻を繰り返しながら興行的成功は二の次で30年かけて完成した作品なんですよね…勝利…
あとパンフレットの記事全部良かった。
特に村山章さんのレビューに共感。
ギリアムが見せてくれた夢の功績はめちゃくちゃ大きい。パイソンズも。
この先誰が亡くなっても夢の終わりじゃないんですよね。バトンが続いていく。
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