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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のEPATAYのレビュー・感想・評価

4.6
上がりきった期待を余裕で越えてゆく大傑作。
予算が莫大なトロマ映画という評判は本当だった。この先こんな映画はもう見れないかもしれない。

冒頭から繰り広げられる出落ち不謹慎ギャグと人体破壊描写。ワーナーの締め付けでデヴィッド・エアーが出来なかったことを堂々とやってのける。

この時点で今作がいかにハチャメチャやりたい放題なのかが伝わるが、実はただ単にハチャメチャやっているわけではない。

計算され尽くした構成と見せ方なのである。

例えば冒頭のあのシーンは、映画のトーンをわかりやすく伝えるほか、“決死部隊”とはいかなる存在なのかをこれ以上ないくらい完璧に提示している。

また、悪人だからなにをやってもいいというわけではなく、子どもや動物をお遊び感覚で傷つけるやつは絶対に許さないという意思がある。

悪人が世界を救うという展開にも不自然さが全くなく、大義のために戦うのではないというスタンスが一貫していて素晴らしい。

ヒーローとはなろうとしてなるものではなく、己の信念に従った結果たまたまヒーローになるのである。

そういう意味で、序盤から綺麗に反転してクライマックスを迎える構成は巧すぎるし、結果的にヒーロー映画としてのメッセージを残している。

言わずもがなアクションも素晴らしく、ただグロいだけではない。矢継ぎ早にアクションのジャンルが変わり、飽きることなく物語が展開していく。

特にハーレイ・クイン脱走の一連のシークエンスは素晴らしく、素手のアクション→ガンアクション→槍術とシームレスに移行していく。しかもそこに『バーズ・オブ・プレイ』を踏まえたハーレイの成長を盛り込んでおり、ドラマとしても完璧だった。

ハーレイにロマンスを背負わせたことに対しては思うところがないわけではないが、あれもしっかり『バーズ・オブ・プレイ』を踏まえており、自分は自分でケアする、男がいなくても女は幸せだという見せ方になっている。

グロい“から”おもしろい、暴力的“だから”おもしろい、というわけでないとわかっていないと今作のようなバランスはとれないだろう。

エログロ=コンプライアンス無視ではない。コンプライアンスを守った上でこんな映画も撮れるのだ。
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